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第5話。 ページ15

「ふぁぁ…ねむ」

昨日、夜更かしすぎたな。

朝から目覚まし鳴りっぱなしで母さんブチ切れてたし。



「お、もう電気ついてんじゃん」

校門から図書室を見上げると、微かに人影が動いているのが見えた。

おいおい、早すぎんだろ。

まだ6時半だぞ?

俺が先に行って驚かそうと思ってたのに。

「ちっ…」

俺は小さく舌打ちをして図書室へ急いだ。


ガラッ

図書室のドアを開けると、本を整理中の彼女と目があった。

彼女は一瞬驚いた顔をしたが、その顔は直ぐにいつもの無表情に戻った。

「おはよ」

「……」

無視ですか。

まぁ、昨日の今日だしな。

「昨日は本当にごめん、これでも一応反省してるんだ」

「……」

また無視。

こうなったら奥の手だ。

「はいこれ、昨日の花のお詫び」

俺は部活用の大きなバックからビニール袋を取り出し彼女に渡した。

「…これは?」

やっと喋った。

「昨日、帰りに寄ってみたんだけど…結局どれかわかんなくてさ」

なーんちゃって。

昔、母さんの趣味を手伝わされたりしてたから花の種類は大体わかるんだよね。

で、ワザと違うのを選んだわけ。

「お花…?」

彼女はビニール袋を中身を見て黙り込んだ。

「……。」

あれ?

なんも言わねぇな。

「ごめん、やっぱ違ったよね?」

ほら、早くなんか言えよ?

もしかして、もう俺に惚れたか?

「ねぇ、大じょう…ぶ…?」

は?

え?

「…なんで泣いてんの?」

俺が冗談半分で彼女の顔を覗き込むと、彼女は大粒の涙を流して泣いていた。

やべ…俺、この子が何を考えてるのかさっぱりわかんねぇ。

泣くほど嫌だったのか、それとも嬉しかったのか。

「…どうして?」

「…え?」

俺がアタフタしていると、少し震えた声が小さく聞こえた。

「…どうして…どうしてこの花を…?」

どうしてって…

君との会話があまりにも続かなかったから少しでも続かせるためにワザと…。

なんて口が裂けても言えねぇし。

「これが…君に1番似合うと思ったから…?」

…最悪。

俺、キモ。

こんなキザなセリフをまさか自分が言うと思わなかったぜ…。

「…っ」

彼女は俺の言葉を聞いて花を大事そうに抱きしめて床に座り込んでさらに泣いた。

「ごめん…本当にごめん!俺、そんなつもりじゃなくて…」

「ううん、違うの…すごく、すごく嬉しい…本当にありがとう」

そう言って彼女はまるで花が咲いたように美しく笑った。


反則だろ…これ。


…不意打ちだ。

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まなか(プロフ) - はじめまして。すごくおもしろいです、全て読ませていただきましたが話がとても深く、とても感情移入してしまいました。更新等頑張ってください。楽しみにしてます (2021年1月12日 22時) (レス) id: 55942c365e (このIDを非表示/違反報告)
彩波 - 面白いです!!!! もう感動して泣きましたよー!! part 2も頑張ってください! (2019年2月16日 6時) (レス) id: 6f464ca19c (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 魅月さん» ありがとうございます!!そのコメントに元気をもらいました!! Part2の方もどうぞよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 匿名でいたいさん» うずうずさせてしまってすみません!笑笑 Part2できました^_^ Part2の方でもうずうずさせない程度に頑張りますのでよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - ゆうあさん» コメントありがとうございます!夢主が幸せになれるよう最後まで見守ってください^_^これからもコメントお待ちしております! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりあ | 作成日時:2018年4月20日 4時

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