6人の悪魔part2

第17話(キセキ)-2 ページ35

緑間side

黄 赤司っち！！

1時間目が始まる前、慌てて教室に入って来た黄瀬が一直線に赤司の元へやってきた。

赤 どうした？

黄 どうしたって！

今にも掴み掛かりそうな黄瀬とは真逆にいつも以上に落ち着いている赤司がゆっくりと顔を上げた。

赤 僕に何か用か？

赤司は平然と手に肘をついてその上に顎を乗せた。

黄 A…転校生に何したんスか！？

赤 何って、いつも通りのことをしただけだよ。

やっぱり…

この間の俺の予想は見事に命中した。

赤司はこれを狙っていたのか。

赤 何をそんなに怒っているのか僕には理解ができないな。

赤司はそういうと左の口角を上げた。

いつもの勝ち誇った顔だ。

赤司に逆らうとどうなるか。

黄瀬…お前は十分知っているはずだろう？

赤 涼太、今までのことは全て水に流そう。だからもう余計なことは考えるな。

黄 …っ！！！

黄瀬は自分の肩に手をおく赤司を今まででは考えられないくらいの目で見下した。

赤 なんだ、その目は？

赤司はすかさずそれに気づき、黄瀬を下から睨みつける。

緑 黄瀬、もうやめとけ。

俺はすかさず止めに入ったが、その手はすぐに払い除けられた。

青 おい、落ち着けよお前。

青峰もそれを見てすぐに黄瀬に駆け寄る。

黄 青峰っち…ホント、ごめん。

黄瀬はバツが悪そうに下を向いた。

青 お前…何を言おうとしてんだよ！！

青峰はそういうと黄瀬に掴みかかった。

だが黄瀬は下を向いたまま顔を上げようとしない。

ただ、聞こえたのは…

黄 もう俺…赤司っちについて行けないっスわ。

赤司を軽蔑する小さな声だけだった。




この瞬間、少しだけ。

少しだけだけど、確実に。



俺たちの硬いようで脆い絆が崩れ始めた。

第18話→←第17話(キセキ)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す