32*ミルクココアと ページ38
正座する彼女の前に、ココアを注いだカップを置いた。
にゃーん。
すっかりAちゃんを気に入り、嬉しそうに彼女に擦り寄るのは、愛猫のぽんぽん。
みみは少しヤキモチを焼いて、遠くからこちらを見ている。
「ココアでよかったかな?」
「は、はいっ」
自分のカップを置き、僕もその小さなテーブルを囲むように、胡座をかいて座った。
「みみ、おいで〜」
ちょっと不機嫌なみみを甘ったるく呼ぶと、
愛猫は寄ってきて、ゆったりと僕の胡座の上に座りこんだ。
___夕飯、どうしようか。
折角だから一緒に、と提案したのは僕から。
でも、疲れているだろう彼女を、飲食店に連れまわすわけにもいかず。
"僕の家はどう?…あ、あのね!猫を2匹飼ってて…いい子達だから会わせたいのもあって、深い意味はないんだけど!!"
そして、今に至る。
…僕は料理が出来ない。Aちゃんは出来るらしいけど任せるのも悪いので、夕食はお弁当で済ませた。
食後、少し話してから彼女を送る、ということになって、
甘いココアを淹れて、一息ついたところ。
「プラネタリウム、めっちゃ良かったね!僕もう感動しちゃって」
「…そう、ですね、!」
そしてずーっと、こんな調子だ。
「…Aちゃん、リラックスしていいよ?」
「は、はい、」
「や、でも当たり前か。緊張するよね、うん」
____いや。
いつもと違う環境下、緊張してるのは本当は僕の方だ。
助けを求めてみみを見ると、
『アンタの恋人でしょ、頑張んなさいよ』ってまんまるの瞳が言っている。
「…あー……うん、」
Aちゃんは相変わらず、俯いたまま。
____そんな彼女の艶やかな黒髪に、僕はそっと、手を伸ばした。
くしゃ、と撫でると、彼女がびくっと肩をすくめるから、
その不自然な動作に、また胸が痛んで。
「ねえ、」
___いま、何を考えてるの。
緊張してる?疲れてる?
それとも上手く話せなくて、焦ってる?
人が、怖い?
僕のことが、怖い?
…君がどう思っていたって、
僕は君の全部を、受け止めてあげたいって思うよ。
「…大丈夫だから。何も、心配しないで」
口をついて、そんな言葉が出た。
「…はい、」
…彼女の声に、ようやく安堵がみえて。
「ココア、冷めないうちにどうぞ。明日からまた頑張れるように、もう少し、一緒にいよう?」
君に、この気持ちが届いて欲しい。
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あきおと(プロフ) - 刹那さん» ありがとうございます…!繋がりました!ちょっとだけ天宮くんにも、夢主の毎日に貢献してもらおうかなと思います!(笑)どっちも読んでくださって嬉しいです、更新頑張ります(^O^) (2017年8月15日 20時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 繋がったああああああ!やった!どっちも読んでる勢としては嬉しい限りです!とても!いつも歌詞さんのかっこよさにときめいてます(笑)更新頑張ってください! (2017年8月14日 20時) (レス) id: df5db280b2 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - 黒。さん» ありがとうございます…!もうどこまでも夢主を甘やかしていくスタイルなので!!(笑)わたしもこんな先生に出会いたかったです…笑 (2017年8月1日 22時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
黒。 - すごく引き込まれる作品ですね!歌詞さん優しすぎて、夢主ちゃんが羨ましいです…!こんな先生と関係を持ちたいです!(恋愛でもなんでもw) (2017年8月1日 22時) (レス) id: 20fadc7ccf (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - お兄ちゃん大好きさん» お兄ちゃん大好きさんありがとうございます!か、神だなんてそんなことはないですけど、(笑)でもとっても嬉しいです!!よかったらこれからもお願いします(*´-`)更新遅いですが是非! (2017年7月5日 2時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
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