34＊ヤキモチ ページ35
「ほいっ。どーぞ！」
帰り際、あんくさんから。
赤いリボンが結ばれた袋詰めのクッキーを、
2袋、ぽんと差し出されて。
「え？あんくさん、俺らこれ頼んでない、」
「サービス！！天月くんが彼女できたお祝い的な？」
「うわ、ありがとうございます…！」
「ありがとうございます！」
「また、いつでも来てよ！次はゆっくりお話でもしよう？」
「もちろんです！！」
俺が答えると、あんくさんは嬉しそうに笑った。
店を出て離れてから振り向くと、まだ店の前で、子供みたいに両手をぶんぶんと振っているあんくさん。俺も手を振り返した。
重たい雲と、相変わらずの静かな雨。
隣で、Aがふふ、と笑った。
「あんくさん、素敵な人だね…！今日会えてよかったよ、」
「俺も、久しぶりに会えてよかった」
もちろん、本当に嬉しかったし楽しかった。
だけど、なんかなあ、
少し胸に違和感。
「お菓子美味しくて、あんくさんの優しさが伝わるっていうか！」
違和感。
なんか、もやもやする、
「帰りもわざわざ送ってくれたし、」
なんか、嫌だな、
「それに、クッキー…」
「好き？」
「っ、え？」
Aの手を引き、思わず立ち止まってしまった。
「あんくさんのこと、」
うわ、言っちゃった、
こんなの重すぎだろ、付き合って間もないのに。
嫉妬、なんて。
「天宮くん…？」
「っ、いや、ごめん、」
慌てて謝る。
最悪だ、
せっかくのデートで、こんな、
…何処にも行って欲しくない、
なんて、自分勝手な気持ちを。
手を離し、下を向く俺を黙って見ていたAは、
「ねえ、天宮くん、
……我儘も、少しは言って、」
それは、いつか聞いた言葉だった。
「私、天宮くんの無理してる顔なんか、やだよ。前にも言ったでしょ…？
まして、付き合ってるんだよ。…どこにも行かないから、」
「っ、………A、」
「……我慢とか、変に気遣いとか、しなくていい、」
「う、ん……」
俺ってこんな弱かったのかな。
嬉しくて泣きそう。我慢するけど。
「あと、あんくさんは、素敵ってだけで、好きとかじゃない、から」
「……あ、いや、
つい言っちゃっただけ、
…ほんと、ごめん」
「ううん、嬉しかったよ」
天宮くんのヤキモチが。
Aは「ほら、帰ろう！」と、俺に笑いかけた。
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イリカ(プロフ) - わ！楽しみにしてます！これからも頑張ってください！！ (2018年6月3日 15時) (
レス) id: 795815d954 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» そんなことないですよー！今はまだちょっと言えないんですが、本編の終わった直後にそのアイディアがちょうど入れられそうな番外編の構想があるので、楽しみにしていただけたらと思います…！多分月に憧れての方に入るので…！ (2018年6月3日 6時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
イリカ(プロフ) - いえいえ、無理なお願いをしてしまい、本当に申し訳ないです。すみません！これからも楽しく拝読させていただきます！！ (2018年6月2日 23時) (レス) id: 795815d954 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» 本編に入れることは叶わなそうなので、それは申し訳ないです！> < (2018年6月2日 14時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» ありがとうございます…！リクエストすっっっごく嬉しいです！！実はお話の展開が最後まで固まってしまったところなので、最終回の後に更新する番外編で、そのアイディアでお話書かせてもらってもいいでしょうか…？！私もぜひぜひ書かせてほしいです、、！ (2018年6月2日 14時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
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