月に憧れて。【天/月】

13＊心配です ページ14

天月くんから電話が来てから、

毎日、毎日。





彼はいつも通り笑顔で挨拶をしてくる。


いつも通り私に声を掛けて、誘いを断られても笑っていた。





ただ変わったこと。







授業中に居眠りをしては、慌てて目を覚ますのが増えた。





そして休み時間もほとんど睡眠に費やしているらしかった。


お昼休みはご飯もそこそこに、教室を飛び出して何処かへ行ってしまう。





「…………どーしたのかな」



流石に私も気になるんだけどな。






今日は委員会の集まりで遅くなってしまって、鞄を取りに教室に戻ると。




「…………え、天月くん？」






初めて会ったときみたいに、
机に突っ伏して爆睡している天月くんの、焦げ茶色の髪が見える。







ペンを持ったまま眠っていたから、何の勉強？と思って、机に乗った紙をのぞき込んだ。






そうしたら、









その紙には沢山の曲名が書いてあって。





"5/20 セットリスト"
"作詞作曲 今月末まで"
"曲順変更、ステージング変更"
"前日リハーサル タイムテーブル"




「……………わ、」



もしかして、
最近の疲れてる感じって、





………これのため？








「す、ご………」



それなのに学校来てるだけでもすごい。


この人は本当に歌が好きなんだな、




いや、


……私のことが、かな………？


って、何考えてるの自意識過剰。



浮かんだ思考を慌ててかき消した。




すると目の前の焦げ茶色のかたまりは、不意にもこもこと動いた。






「わぁッ？！」



「…………？！




…A、ちゃん……？」

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