61*水面下 ページ24
「あーあ、失敗しちゃった。」
…天宮翔太、柏真冬。
2人の間に挟まれたAの後ろ姿を、遠目に見ながら呟いた。
____途端、柏真冬の方がちらりとこちらを振り向いて、
明らかに俺を鋭く睨みつけ、
その表情を一瞬で引っ込めたかと思うと、また柔らかな笑顔でAに向き直る。
「…ふっ」
それを見て、勝手に声が漏れた。
超警戒されてるじゃん、笑える。
*
『____葉月さんを危ない目に遭わそうとしてるのは、アンタ?』
今朝の、4時頃のことだった。
低い声がして振り返ると、
白髪の青年が、「伊東先生」の家のすぐ側に立っていた俺を睨みつけていて。
_____この人間は、
Aの周辺を調べた中でも、特に名前が挙がってくるうちの1人だ。
『…だったら、どうするわけ?
_______柏真冬くん。』
『っ、なんで僕の名前っ_____』
『あはは、名前だけじゃないよ?
君のクラスも個人情報も、…ああ、それに過去のことだって、全部分かってるし』
______なんなら、君がクラスに復帰できないようにすることも、
そう囁けば、こいつにかなりのダメージを与えられると知っていた。
_____はずだったが、
『そんなの、勝手にすればいいよ。
だけど、僕の仲間や葉月さんにちょっとでも危害加えてみろ、
_____そのときは俺、アンタのこと殺すのだって、厭わないかもしれないよ』
へえ。
思ったより冷ややかに発せられたその視線と言葉に、面白くなってそいつを覗き込んだ。
…目線は、逸らされない。
それどころかこんなに、鋭くて冷たい眼をしている。
『真冬くんさあ。
…なんか、俺に似てるね』
_____まだ何もしないから、変に騒いで面倒を起こさない方が、身のためだよ。
俺はそう言って、柏真冬の喉元にスタンガンを突きつけた。
『帰らないなら今すぐ君の意識吹っ飛ばして、そのまま"先生"とAのこと襲いに行くけど』
『っ……………』
今の彼にとって大事なものは大層多いらしいが、
____君が、1人で守りきれるとでも?
(…甘いんだよ、そんなの)
_____期日を見る間は、彼とも攻防が続きそうだねえ。
ひととおり思い出してから、
登校する3人の真ん中にだけピントを合わせ、俺はまたくすりと笑って、シャッターを切った。
249人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あきおと(プロフ) - 桜木さん» 急かされてるなんて全然です!たのしみにしてくださるとモチベが上がります爆上げです笑 とりあえず100話完結の予定になったので、本当に100話で終わるか見守っててください笑 (2018年2月22日 15時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
桜木(プロフ) - あきおとさん» わわわ超まで付いてる…めっちゃ嬉しいです;▽;愛を叫ぶ桜木です(あきおとさんの作品の歌詞さんは本当に好みで作品自体もホントに好きなので……。ホワイトデーも楽しみに待ってます!急かしてたらごめんなさい;あきおとさんのペースで書き続けてくれたら嬉しいです! (2018年2月20日 11時) (レス) id: 69ddd43526 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - 桜木さん» 超覚えました!!いつも愛を叫んでくださるので!!(褒めてます) ホワイトデー早く描きたいなあ…間に合わなかったとしても番外とかで絶対ホワイトデーしますので、その時は是非!笑 (2018年2月20日 1時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
桜木(プロフ) - あきおとさん» わぁぁぁあきおとさん!覚えて頂いて光栄です…!!!( ;∀;)ホワイトデーも楽しみです…!歌詞先生いじわるになっちゃうんですかね〜〜!!今からとっても楽しみにしてます……! (2018年2月19日 7時) (レス) id: 69ddd43526 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - 桜木さん» ぁぁぁぁあ!桜木さん、お久しぶりです!(笑) たぶんホワイトデーは、夢主が超接近戦でからかい倒されます() (2018年2月18日 22時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あきおと | 作成日時:2017年8月19日 13時