45*逆さまのシンデレラ ページ3
____目を覚ますと、私と手を繋ぐ、誰かの手の感触がした。
「…せん…せい、?」
「…へーえ。俺より先に浮かぶ人が、君にも出来たわけだ。1時間前に出ていった人? "先生"、って」
(っ、…!)
___そこには今、一番会いたくない人が居て。
「…な、……んで、」
私には答えず、彼は1枚の紙切れを眺めて、くっくっ、と喉から笑いを漏らした。
「"先生"ね、メモ残していったよ。12時過ぎに、泊まる支度して戻ってくるって。
何されちゃうのかな、だーいすきな先生に」
「やめ、て、……うるさい、」
「口答え?いい度胸だ、」
「っ、あ、ごめ、…なさ、」
反射で謝ってしまった、自分に嫌悪感を覚えた。
吐き気がこみ上げてくる。
彼は先生の書いたメモを破り捨てると、
それから、私の首に細い指を這わせ、
「知ってると思うけど…俺さ、好きな人の首絞めるの、癖になっちゃってさ……」
そう言って、指に力を込め始める。
「っ……、っ、ぐ、……う"、」
______嫌だ、嫌だ、嫌だ、触らないで。
「ね、"先生"って、彼氏?」
「……っ、……ち、…が、」
「へえー!違うの?じゃあなんで泊まり込みで看病なんかしてくれんの、遊ばれてるだけなんじゃないの?」
_____現実で言われるその言葉は、
夢で見たときよりずっとずっと、心に鋭く突き刺さった。
気道が徐々に塞がれていき、感情的な涙も、生理的な涙も、区別がつかなくなって。
「っ、……!」
私の首を絞める彼の力は、
容赦なく容赦なく、どんどん強まっていって。
____殺される。
頭に残ったのは、そんな恐怖心だけだった。
(先生、たすけて、お願い、)
…死ぬ寸前まで追い込まれたそこで、
彼は私に、残酷な言葉を落とす。
「……来週、俺と会うまでに。"先生"とは、自分で距離を置いて。」
いい?
肺の中の酸素がなくなったまま、
必死で頷く以外の選択肢は、奪われてしまった。
____私の反応を見て、満足そうに口の端を吊り上げる、その表情に寒気がする。
「じゃ。せいぜい今週は、"先生"と楽しんでね、A」
ぱっ、と呆気なく手を離されて、激しく咳き込む私を背に、彼は出ていった。
…彼の手の痕が残った首筋を、震える指で小さくなぞる。
時計の針を見ると、12時を回ったところだった。
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あきおと(プロフ) - 桜木さん» 急かされてるなんて全然です!たのしみにしてくださるとモチベが上がります爆上げです笑 とりあえず100話完結の予定になったので、本当に100話で終わるか見守っててください笑 (2018年2月22日 15時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
桜木(プロフ) - あきおとさん» わわわ超まで付いてる…めっちゃ嬉しいです;▽;愛を叫ぶ桜木です(あきおとさんの作品の歌詞さんは本当に好みで作品自体もホントに好きなので……。ホワイトデーも楽しみに待ってます!急かしてたらごめんなさい;あきおとさんのペースで書き続けてくれたら嬉しいです! (2018年2月20日 11時) (レス) id: 69ddd43526 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - 桜木さん» 超覚えました!!いつも愛を叫んでくださるので!!(褒めてます) ホワイトデー早く描きたいなあ…間に合わなかったとしても番外とかで絶対ホワイトデーしますので、その時は是非!笑 (2018年2月20日 1時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
桜木(プロフ) - あきおとさん» わぁぁぁあきおとさん!覚えて頂いて光栄です…!!!( ;∀;)ホワイトデーも楽しみです…!歌詞先生いじわるになっちゃうんですかね〜〜!!今からとっても楽しみにしてます……! (2018年2月19日 7時) (レス) id: 69ddd43526 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - 桜木さん» ぁぁぁぁあ!桜木さん、お久しぶりです!(笑) たぶんホワイトデーは、夢主が超接近戦でからかい倒されます() (2018年2月18日 22時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきおと | 作成日時:2017年8月19日 13時