Next to me (ページ18)

今日:20 hit、昨日:1 hit、合計:82,132 hit

１８ページ18

･

3時間目になってやっと眠気が取れたのか

ちゃんと起きてた

1時間目みたいな怖い顔はしてなくて

樹「ねえ、Aちゃん、見て」

とニヤニヤしながら日本史の教科書を見せてくる田中くん

徳川家康がすごいことになってる

思わず笑ってしまったけど

それでもやっぱりさっきの田中くんを思い出して

少し緊張してしまう

『ふふ、じょうず、だね、』

樹「でしょ？

やっぱ俺って才能あるわ」

と、さらに他の写真にも落書きしてた

それから話しかけられることもなく、

そっと胸をなでおろした

4時間目は選択授業で

私は別の教室だったから

話しかけられることは無く

あっという間にお昼休み

いつもの場所でお昼ご飯を食べて

久しぶりに楽器に触りたくなった

綺麗に手入れされたアコギを持ってきて

チューナー探すのめんどくさいな～って

感覚を頼りにチューニングして

…なにがいいかな

先輩が歌ってた曲を歌おうかな

確か曲名は

" 茜空 "

尊敬してる人と一緒に作った大切な曲だって言ってたっけ

先輩ほど上手くないし

コードもうる覚えだけど

誰かに聴いてもらうわけじゃないしいっか

と歌い始める

～果てなく広がる海の向こうに
二人の未来を重ねたりして

1番を歌い終わって

人の気配を感じて入口に目をむけると

樹「…Aちゃん？」

そこには何故か、田中くんがいた

その手には炭酸飲料のペットボトルが握られてて

自販機行った帰りなのかなって

教室から自販機までは部室の前を通るのが1番近いから

と、何故かそんなことを考えつつ

『…どうしたの？』

樹「いや、さっきの曲

きょもがよく歌ってたなって」

『た、大我先輩に教えてもらったから…』

樹「そっか、Aちゃんって軽音部だったの？」

『うん、ベースやってた』

樹「そうなんだ、

ライブ見に行ったことあるけど知らなかったわ」

『そっか』

後ろから

「樹ー！置いてくぞー！」

と声が聞こえて

樹「じゃ、また教室で」

と出ていった