101回目の初めまして nk→kn ページ41
なかむside
繰り返し、くりかえし。
あの人に恋をする。
｢初めまして｣と声をかけて、初恋を繰り返す。
姿形は違えども、いつだって君は君だった。
1回目。
恋に落ちたのは一瞬だった。
君の瞳に見蕩れていた。
初恋は一目惚れ。
その目は、綺麗な青色だったんだ。
100回目のさようなら。
99回も失恋を重ねた。
100回繰り返した人生で、君に出会わないことはなかった。
けれどその100回の人生で、この恋が叶ったのは、たった1回。
最初の、1回だけ。
1回目。
俺たちは軍人だった。
新米兵士の頃からよくつるんでた。
君が｢綺麗な目だね｣と話しかけてくれた。
それが最初。
最初の恋。一目惚れ。
空の青とも、海の青とも違う。
何者にも例えられないその青が、酷く綺麗だったんだ。
さようならは突然だった。
一緒に駆り出された戦争で、2人一緒に息を止めた。
愛してると口付けた。
ムードも何もないその場所でのキスは、やっぱり血の味しかしなかった。
彼は笑った。
おれも、と。もうほぼ聞こえない、掠れた声でそう言った。
そのまま2人、手を握って。
100万と重なった屍の中ふたり、｢次｣を信じて眠りに落ちた。
...そこで終われば、幸せだった？
2回目。
次は平和な世界だった。
俺と君は学校で出会った。
君とは隣の席だった。
彼は、｢綺麗な髪だね｣と話しかけてくれた。
繰り返したのは一目惚れ。
戻ってきたのは1回目の記憶。
さようならはすぐだった。
そこから1年もしないうちに、彼は遠くに引っ越したから。
想いは告げられないまま、｢次｣を期待する人生だった。
3回目。
君と俺は会社員だった。
君の方が歳上で。俺の先輩で。
歳の差があるのが、少し違和感だった。
君は、｢綺麗な声だね｣と笑った。
繰り返すのは一目惚れ。
思い出したのは2回の人生。
さようならは来なかった。
君は他の人と恋に落ちた。
白いタキシードに身を包んだ君を、会場の隅でじっと見つめるだけだった。
想いは残ったまま、｢次｣を求める人生だった。
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作者名：ローゼ | 作成日時：2020年8月8日 18時
