白尾さん達の恋模様4【BL】 (ページ6)

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夜が来なければ sm→kr ページ6

スマイルside

高い高い空の上。
小さな部屋以外は何も無い、おかしな空間。
そこが、俺達の家。
そこから出た事なんてないし、出れた事なんて無い。
...というより、出ちゃいけない。
それが、俺達の役割だから。

簡単に言ってしまえば、月と太陽だ。
俺が月で、彼が太陽。
化身みたいなもの。
俺が起きれば夜が来るし、彼が起きれば朝が来る。
お互い話した事があるのは、月と太陽が一緒に出ている夕方と、早朝の短い時間だけ。
それでも長い間一緒にいれば、彼の事もよく知れる訳で。

段々と、少しずつ彼を知っていく度に、何となく、彼ともっと話したいと思うようになった。
もっと此奴の事が知りたいと、願ってしまうようになった。
自分でもよく分からない。
この気持ちが一体なんなのか、なんて。
分からないけれど、でもこれが、普通の感情じゃないのは確かで。
友情なんかよりももっと深くて、親愛にも似たこの感情は。
いつか何かの本で読んだ、’’恋’’のような物に似ているような気がして。
恋という概念がどんなものなのかは分からないけれど。
それでも、きっと彼の事ばかり考えて、彼の笑顔を想う度に、胸が踊るのは。
きっとそれは、俺が彼に、’’恋’’をしているからで。
...そうだと分かったとしても、結局は何も出来ない訳だが。

「あ、おはよう。スマイル。」

柔らかな金色の髪を揺らしながら、彼はいつもの様に俺に言った。
「おはよう」と返せば、いつも通り話し始める。
話すのは、他愛もない事。
昼間地上では何があったのか、なんて、下らないこと。
下らない話だけれど、彼とそれを話せる事自体が、俺にとっては嬉しい事で。
だからもう少し、話していたいのに。
それでも、ずっとは叶わない。
...酷い話だ。

「...そういや、そろそろ冬が来るな。」

他愛もない話の中で、彼がふと零した言葉。
最近は夜の時間が長くなって、気温も下がってきている。
冬の訪れを感じさせるような、寒い日が続いている。
...冬なんて、来なければいいのに。

＿パタリ、と彼が倒れた。
いつもの事だ。
日が沈んだから、倒れただけ。
太陽の化身である彼の行動時間外になっただけの事。
それでも、好きな奴が突然倒れるのは心臓に悪かったり。