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別にそこまで花に詳しい訳じゃないからどんな事をしてるのかとか分かるわけじゃない。
だけど、彼がこの薔薇の花一つ一つを大切に管理しているのは良く分かって。
少し笑いながら手入れをする彼の様子が、頭に思い浮かべられた。
彼から愛情を沢山貰える薔薇の花が、少し羨ましかった。
...花に嫉妬とか、馬鹿みたい。
彼にとって俺は、弟みたいなもので。
小さい時から一緒にいたから、互いの事はよく知ってる。
7歳上の彼は、凄くかっこよくて。
俺の、憧れで。
...いつしか、その憧れは恋に変わっていた。
かっこよくて、背が高くて。
笑顔は暖かくて、綺麗で。
俺の頭を撫でる、その男らしい手が好きで。
俺の名前を呼ぶ、その声が好きで。
俺を見ていてくれる、その瞳が好きで。
全部。全部、大好きで。
それが恋だと自覚して、彼の隣にもっと居たいと思った。
離れるべきだと思っても離れられなかった。
彼が周りにいる生活が当たり前だったんだ。
そんなの出来なかった。
少しでも、一緒に居たくて。
少しでも、君と話していたくて。
少しでも、君の視界に入っていたくて。
...少しだけでも、俺を見ていて欲しくて。
知って欲しくて。
俺の気持ちを、想いを、知って欲しくて。
そんな思いで毎日此処に通った。
呆れながらもちゃんと相手はしてくれるのが、嬉しかったのを覚えている。
「せっかくだから、買うよ。薔薇。」
「...珍しいな。毎度あり。」
手に取ったのは、３本の赤い薔薇の花。
真っ赤なリボンを茎に巻いて、シンプルなラッピングを。
「誰かに渡すの？」と聞かれたから、「まぁね」とだけ。
そっか、なんて興味無さそうに返された。
渡す相手なんて、君しか居ないよ。
...分かってよ。
＿いつからか、きりやんは俺の目を見なくなった。
目が合っても、直ぐに逸らされるようになった。
たまに、少し気まずそうに笑うのが嫌だった。
...きっと、彼は気づいている。
気づいた上で、知らない振りをしている。
それが表す意味なんて、とっくに分かってる。
けれど、諦めたくなかった。
君への想いを、無かったことにしたくなかった。
...だから、今日はちゃんと伝えるよ。
貰ってばっかりの俺が、初めて贈るプレゼント。
初めて贈る、愛の言葉。
言葉だけでは足らないから、薔薇の花なんて、どうですか？
「＿きりやん。」
「ん？」
貴方に、俺からの最大限の愛を。
俺に出来る、最大限の告白を。
「好き、です。」
貴方はこの花を、受け取ってくれますか？
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作者名：ローゼ | 作成日時：2019年5月26日 21時
