白尾さん達の恋模様3【BL】 (ページ34)

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忘れないで br⇔kr ページ34

broooockside

「誰？」

よく知った彼奴からかけられた言葉。
最初は、何かの冗談かと思った。

「いやいや、知ってるだろ？」
なか「いや...きんとき知ってる？」
きん「俺も分かんない。」
「ぇ...？」

彼らは、俺の名前を出してもピンと来ていないようだった。
何を言っても、知らない、とだけ。
...忘れられた？どうして？
喧嘩をしたわけでもなかった。
いつもの悪ふざけのようにも見えなかった。
冗談を言っているようではなかった。
タチの悪い、冗談であって欲しかった。
俺の携帯からは、全ての連絡先が消えていて。
まるで、世界に見放されたみたいな。
...それなら、彼からも忘れられてる？

「ぶる、く...。」

俺の、大切な人。
ずっとずっと、好きだった人。
ようやく、想いが実ったのに。
忘れられてるの？彼からも？
嫌だよ。忘れないでよ。

「1人に、しないでよ...。」

あいつらとよく遊んだ公園に来た。
そこには、緑色がいて。
いつもなら、俺に気づいて手を振ってくれたのに。
「きりやん！」って、俺の名前を呼んでくれたのに。
俺を視界に入れても、何も言わなかった。
...彼奴もか。

家に帰る途中で、紫色にあった。
でも、そいつも俺を無視して行った。
忘れられてるんだ。
みんな、俺を覚えてない。
...俺が、何をしたって言うんだよ。

今だけは、彼に会いたくなかった。
彼にまで忘れられたら、俺はどうしたらいい？
会った所で、彼は俺を覚えてないだろう。
今だって、胸が張り裂けそうな程痛いのに。
彼にそれを言われたら。
知らない、なんて言われたら。

溢れ出しそうになる涙を堪えながら、ふらふらと歩いた。
気づけば、足は彼の家へと向かっていた。
...馬鹿か、俺は。
さっき傷つきたくないって思ってたのに。
それでも、心の何処かでは希望を持ってしまっていて。
彼なら、俺を忘れてないんじゃないか、なんて、根拠の無い希望が頭に浮かぶ。