白尾さん達の恋模様3【BL】 (ページ4)

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(...それで願いが叶うなら、僕は苦労してないよ。)

それで願いが叶うなら、僕の想いは、実っている筈なんだから。
それで願いが叶うなら...君は、振り向いてくれている筈だから。
...今年は、短冊に願い事を書こうかな。

毎年思い浮かべる願い事。
’’彼が、僕を好きになってくれますように’’
なんて、他力本願にも程がある。
自分でどうにかしないといけないのにさ。
ほんと、馬鹿みたい。
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すっかり、日は暮れてしまっていた。
空には、綺麗な星が煌めいていて。
天の川が、酷く綺麗に見えた。

「星...綺麗...。」
「...そうだね。」

ベンチに座って空を見上げながら、君は呟いた。
夜空を見上げている君も、凄く綺麗で。
星なんかより、ずっと綺麗で。
滴る汗ですら宝石のようで。
黄緑色の浴衣から覗く鎖骨が色っぽかった。
意識すればする程見えてくる君の魅力に、頬が熱くなった。

そうして2人で星を眺めていると、シャークんは疲れたのか眠ってしまった。
すぅすぅと、規則正しい寝息が聞こえる。
彼の柔らかい黒髪が、肩に当たって擽ったい。
もう少し顔を近づければ、キスでも出来そうなくらいに近い距離。
心臓がうるさく音を立てた。

しばらくすると彼は、僕の膝に倒れてきた。
所謂、膝枕の状態。
さっきよりは顔の距離は離れたけれど、いかにも恋人がしそうな行動で。
さっきよりも心臓はうるさくなった。

「ぶる、く...。」

寝ている彼が、僕の名前を呼んだ。
寝言で、僕の、名前を。
僕の、夢を見てるの？
それともただの偶然？
...やめてよ、期待するじゃん。
胸が、苦しくなるから。
抱いちゃいけない想いが、もっと大きくなっちゃうから。

俺の心の中なんて何も知らずに安らかに寝息を立てるシャークん。
君の所為で、こっちはすっごく動揺してるっていうのに。
呑気だなぁ...。
僕は、いつも君のことで頭がいっぱいなのに...。

「僕の事、好きになってよ...。」

胸が痛くて、苦しくて。
ようやく出たその言葉は、酷く弱々しかった。

七夕が、願いを叶えてくれるなら。
この想いも、実らせてください。
...眠っている今なら、気づかないかな？
僕はそっと、シャークんの頬にキスを落とした。

「好き...。」

好き。大好き。...好きだから。
早く、気づいて。

そんな願いも。
僕が零した、たった一言の愛の言葉も。
蒸し暑い、夏の夜空に消えていった。