白尾さん達の恋模様3【BL】 (ページ13)

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「なかむ、泣くなよ...。」
「ごめっ、ん...きんときの方が、辛いのに...ごめん。ごめん...守れ、なくて。」

泣かないでよ。
なかむだって、笑顔の方がいいよ。
無理に守らなくていいよ。
傍に居てくれるだけで、俺は幸せだよ。
だから、笑っていてよ。
＿＿
＿

「ねぇ、きんとき。」

彼と初めて出会った屋上。
まだ少し痛む体を動かして、彼の方を見た。
彼は、空を見上げていた。
今日も、青空だった。
あの日と同じ、青と水色が綺麗な青空。
俺と、なかむの色。
そんな空を、彼は見上げていた。

「俺がいるから、ね。」

まだ少し震えた声で、彼はそう言った。
優しく微笑みながら、彼は言った。
また、目の前が滲んで行くのがわかった。
本当は少し不安だった。
彼がずっと居てくれるかなんて分からなかった。
でも、彼がそう言ってくれて。
隣に居てくれると分かって。
安心からか、それとも傷の痛みからか、涙が溢れた。
なかむは、あの日と同じように、俺の背中をさすってくれた。

「だから。...いなくならないでね」

分かってる。分かってるよ。
君が、ここにいるなら。
俺は、ここにいるから。
なかむも、いなくならないで。

彼は、今ここにいる。
なら、まだ、ここにいられる。
飛び降りるのに必要な羽は、何処かに消えた。
これからは、ここにいるから。
空に落ちる事は、もうしないから。
だから、彼の隣に、ずっといられますように。

...俺に笑顔を教えてくれた彼と、ずっと一緒に、笑えますように。