白尾さん達の恋模様【BL】 (ページ3)

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第２ボタン sm→sh ページ3

スマイルside

初めて会ったのは、3年前の4月の初め。
少しだけぬるい風を体に浴びて、桜の花びらが舞う道を1人で歩いた。
少し歩くと、誰かが桜の木を見つめているのが見えた。
白とも取れるような薄いピンクの中にある、正反対な色。
何処までも黒い髪が、風に煽られて静かに揺れた。
その姿が、酷く綺麗で、目を奪われた。
そいつは、此方に気づくと、へにゃりと笑って小さく手を振った。
会ったばかりで、名も知らない彼に、その日、俺は恋をした。
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彼と出会ってから約3年が過ぎ、あっという間に卒業だ。
結局、想いは伝えられなかった。

『スマイルはさ、何処の大学行くの？』
『...〇✕大。』
『結構いい所じゃん！頑張れよ！』

１週間ほど前に彼と話した内容が頭を巡った。
あの口ぶりからして、大学は違うんだろうな。
今日で、もう会えないのかな...。

「...伝えれば良かった。」

そんな事を思っても、伝える勇気なんてものは俺には無くて。
この気持ちをどうにか誤魔化したくて。
懐かしい、シャークんと初めて会ったあの道に向かった。

そこは、あの日と同じように桜が咲き乱れていて、とても綺麗だった。
ゆっくりと、歩みを進めると、またあの時のように、黒が見えた。

「...シャークん。」

気づけば、彼に話しかけていて、そいつは、こっちを振り向くと、へにゃりと笑った。
何もかもがあの時のままで、心から、離れるのが惜しいと思った。

シャ「スマイル、来たんだ。」
スマ「まぁな。」
シャークんは、制服の第２ボタンどころか、ジャケットまで奪われていて、ワイシャツも皺が目立っていた。

シャ「スマイルは、無事だったんだな。」
スマ「？、あぁ、まぁ、俺は避難してたからな。」
シャ「俺もそうしとけば良かった...w」

きっともう、彼の第２ボタンは無いのだろう。
名前も知らない誰かの手の中にあるんだろう。
それでもいいから、第２ボタンなんて貰えなくてもいいから。
両想いじゃなくたって構わないから。
だからせめて、この想いだけは、伝えさせて。
ほんの少しだけ、夢を見させて。

スマ「俺、さ、」
シャ「ん？」
スマ「第２ボタン、渡したい奴いるんだよ。」

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