猫と家族 7 ページ7
ガギン…キィン…
遠くから金属音が聞こえる。
厄魔特有の空気が流れている。
近くに厄魔が見え後ろから斬り伏せた時、一瞬Aが見えた。
「……っ」
勢いをつけて斬り伏せてやっとAの元に行けた時、感じた想いは今まで感じたことのないものだった。
「……はっ…はぁ…け、謙信様…」
身体のあちこちに傷がついて、そこから軽く血が出ている。
「……被っていろ」
軍服を脱ぐとAに被せて引き寄せた。
そうすると、弱い力でAは刀に触れている私の手に手を重ねた。
「……すまない」
「いいえ……不甲斐なくて、ごめんなさい…」
厄魔を見ると、殺気がわいてくる。
「よくも……我が妻を…!」
そして、Aと共に厄魔に向っていった。
…
……
そして、全ての厄魔を倒しきった時には早朝になっていた。
「……け、謙信様。その、ごめんなさい…ひゃあ!?」
衝動のままに顔を胸にあてると、鼓動が聞こえてくる。
生きている。
「…お前が血まみれでいるのを見て、私が感じたことがわかるか」
「……」
「……本気で失いたくないと思ったのだ。それと同時に不甲斐なく思ったのだ、お前を守れぬ私を」
「……謙信様は私を守ってくれています、先程だって守って」
「そうではない!…私はお前を一人で戦わせたくないのだ。傷ついてほしくないんだ…」
「私は、仕方ないんです。誰かを助けたいんです」
「だからと言って、傷つくのは仕方ないと私は割り切れない!何故、お前だけが傷つくと考えている!?我が軍にとってお前は大切な存在なんだぞ!?」
「だったら!」
初めて声を荒げたAに驚いて黙ると、Aは続けた。
「私はただ、謙信様達が戦で傷ついていく姿を静観しろっていうんですか!?私はそんなの嫌ですよ!?
貴方の為なら、貴方とならどこまでも行ける気がしたんです。どんなに最悪な状況でも私には貴方がいるだけで最高の物だったんです!」
「しかし…!」
「私の恋は私が守る、そんなことは女の子だったら普通の事なんですよ」
「……」
「私は愛が欲しいから貴方と共にいるのではないのです。…『ただの人間』の私が貴方に恋する為にそばにいるのですよ?」
「…フッ、そうか」
「そうですよ」
「なら、すぐそばにいろ」
近くにある耳に唇を寄せて
「…私がお前を愛するために、私の愛を守るために…生きていてくれ」
と囁いた。
Aは頬を赤く染めた。
我が軍に新しい仲間が増えるのは遠くない話。
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あかり(燈)(プロフ) - 理衣さん» はい、少しだけ話を変えて書いています。 (2018年3月11日 13時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
理衣 - これは、発売された小説「掌中之珠」と同じのをかいていますよね? (2018年3月11日 10時) (レス) id: 0d8c8c0b60 (このIDを非表示/違反報告)
ハルル - 上杉謙信のことがすごく好きなので、早く続きが読みたいです。待ってます。 (2018年1月29日 10時) (レス) id: 4e10d5168c (このIDを非表示/違反報告)
あかり(燈)(プロフ) - ありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年1月27日 16時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年1月27日 0時) (レス) id: 59f45044d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかり(燈) | 作成日時:2018年1月26日 16時