記憶と涙 ２ ページ13
「テメェら、落ち着けよ…！何だって」
「あんたが、彼岸を呼ばなければ…！」
おれじゃないやつをみてるのか？
「あの子は彼岸を追って、神牙に行ったんだ。あんたのせいで…！」
ひめみこをみてるのか？
「…俺は、俺は…」
「彼岸、ごめんね」
ざくり
腹が痛む。刺されたのか。
僅かな力で振り返ると、
「…はっ、さく？」
泣きたそうな眼をした八朔がいた。
「…っ俺らは何を…！？彼岸！！」
「キャアアアアッ！！彼岸様ぁ!?」
「…うっせぇなァ」
そう八朔が言った瞬間、背筋にぞくりと何かが走った。
そして、俺たちの周りには蛇が俺たちをドーム型に覆った。
「…彼岸、ごめんね」
「テメェ、何で…！」
「君に本当の事を伝えないまま、ここまで来てしまった。それを謝らせてくれ」
「……」
八朔が頭を上げ言葉を紡ごうとしたと同時に、
「君は……」
と八朔が遮った。
「……君は……女の子なんだ」
「……は？」
女の子？嘘だろ、だってこの体は男のモノだろ。
そう思って体を見ると、着物の胸のあたりに膨らみがある。
ちらりと覗くと、小さい膨らみが二つ付いている。
「…昨日までなかったのに」
「僕が刺したことで、術式が切れたんだ。君は、周りに男って思われてたからね」
「…お前は思ってなかったみてェな言い方だな」
「…まぁね、君の事は一番理解してたし。…近くで見てきたからもあるけど」
「は」
八朔は泣きそうな顔をして
「彼岸、僕は君の事が好きだったんだ。どんな時でもお人好しで、周りをよく見ている君を」
「…冗談言うなよ、俺たちは只の親友……」
「僕は！…僕はそんな風に見ていなかったよ。ずっと君を見つめていたんだ」
「…なァ、止してくれよ？俺はお前なんか……」
「うん、僕は君に答えてもらおうなんてこれっぽちも思ってないから」
「……は？」
「僕は君が好き。それだけで報われるんだよ、僕は」
こいつはどうしたんだ？
八朔は何がしたい？
「…テメェは馬鹿だな」
「うん、僕は馬鹿だからね。君に好意を伝えるためにこうするしかないって」
八朔は俺に手を伸ばして
「でも、こんな馬鹿な僕でも僕のために泣いてくれる人はいる事がうれしいんだ。それが一番好きな人なら尚更」
「泣いてねェ、っての…っ」
頬を伝う俺の涙を指で拭った。
「…僕は君を殺した裏切り者として、皆に糾弾されるだろうね」
八朔は未だ泣いている俺を引き寄せて、背中を優しく叩く。
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あかり（燈）(プロフ) - 理衣さん» はい、少しだけ話を変えて書いています。 (2018年3月11日 13時) (
レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
理衣 - これは、発売された小説「掌中之珠」と同じのをかいていますよね？ (2018年3月11日 10時) (レス) id: 0d8c8c0b60 (このIDを非表示/違反報告)
ハルル - 上杉謙信のことがすごく好きなので、早く続きが読みたいです。待ってます。 (2018年1月29日 10時) (レス) id: 4e10d5168c (このIDを非表示/違反報告)
あかり（燈）(プロフ) - ありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2018年1月27日 16時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年1月27日 0時) (レス) id: 59f45044d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あかり（燈） | 作成日時：2018年1月26日 16時
