もう2度と、バレーボールはやらないと【HQ】 (ページ14)

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準々決勝、2セット目

声援がどよめき合う中、俺はコートに立った。

木葉「A！頑張れよ！」

『はい。』

木兎「A！！今のナイスストレート！！！」

『ありがとうございます。』

赤葦「A、ナイスブロック。」

『……はい。』

アドレナリンが出てるのは自分でも理解できた。

木葉さんの代わりに試合に出してもらえたのは、もう1セット目を取っていて、今の点差も6点ほどついているから、俺の経験のために監督は出してくれたのだろう。

それはわかっていたのだが、レギュラーメンバーと一緒にプレーをするのは楽しかった。

尾長はMBとして、一年生ながら活躍していた。

だから俺も活躍しなきゃと思った。

……油断していたのだ。

赤葦さんからトスがきた。

綺麗なトス、またストレートに打とう、そう思ったのに。

ボールはそのまま床に落ちた。

ジャンプの際に、今まで無理をしていた膝が壊れてしまったのだ。

今まで経験したことのない痛みに顔を歪める。

監督がタイムを取ろうとした瞬間。

赤葦「っ、A！？鼻血！！」

『、ぁ、？』

もうそこからは全部がダメだった。

膝だけでなく、体調も限界だったのだ。

連日のオーバーワークに睡眠不足。

みんなの声が聞こえるのに、俺はもう声が出なくて、膝が痛いのに頭もぼんやりとしてきて、体育館の床に倒れてるのに余計に吐き気がしてきて。

迷惑かけてごめんなさい。

俺はもう2度とバレーボールはやらないと誓った。