32，『物』じゃない ページ35
夕飯を食べ終わり、三日月と一緒に手入れ部屋へと向かった。
「よし、じゃあそこに寝てて。準備するから。」
三「その前に少しいいか。」
三日月はまた私の腕を掴んで、袖をめくった。
霊力で隠しているから傷は表には見えない。
「だからどうしたの(笑)何もないって。」
すると、突然三日月は傷がある場所を掴んだ。
「いっ、な、なに？どうしたの急に。」
三「傷、ここにあるのだろう？」
「ないって、離してよ。」
三「ごまかしても俺にはわかる。なぜ隠すのだ。」
傷がズキズキと痛みだす。
掴まれたことで、傷が開きかけているのかもしれない。
「…い、いたいから、はなして……。」
口に出してしまった。バレちゃったな……。
三「…すまない。傷、見せてはくれないか？」
掴んだ手を離した三日月は、申し訳なさそうにそう言った。
思いっきりバレたし、いいか。
私は、霊力を解き、巻いていた包帯も解いた。
三「！…結構大きな傷だったのだな。痛かっただろう。すまなかった…。」
「ううん、三日月さんは悪くないよ。あぁ、ちょっと開いちゃってるな…。」
そう言うと、三日月はすぐに傷薬と新しい包帯を持ってきてくれた。
三「俺のせいだ。手当てさせてくれ。」
傷口を洗って、薬を塗ってから包帯を巻かれる。
あぁ、三日月を手入れする時間なのに、何されてるんだろ…。
情けない……。
三「こんな傷をおおってでも、まだ出陣する気なのか？」
「うん、みんなのためだから。こんな傷、みんなと比べたらどおってことない。もういいよ、ありがとう。」
めくっていた袖を戻す。
「じゃあ、手入れ始めよっか。あ、このことは、秘密にしてくれないかな。この傷知ったら、また出陣を反対されるからさ。」
三「…なぜそこまで出来る。俺達はただの刀。破壊しても代わりがいくらでもあるような『物』だ。審神者がそこまでする必要など…。」
「物、じゃない。みんな、大切な仲間だから。私の守りたい、助けたい人達だから。そんなこと、言わないでよ。」
私は優しく微笑んで、三日月の目を見て言った。
伝わってくれた、かな。
「ほら、寝て。手入れ始めるよ。」
三「あぁ。…主。」
「なに？」
三「この本丸を、よろしく頼む。でも、あまり傷はつくるでないぞ。」
「うん、わかったよ。」
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片瀬(プロフ) - 更新楽しみにしてます☺️ (2023年4月16日 22時) (
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作者名：あかり | 作成日時：2023年4月16日 9時
