22,できるのなら… ページ25
〜 薬研藤四郎 side 〜
時は経ち、夕飯の時間になった。
俺達はAに頼まれた通り、料理を注ぎ、配っていた。
Aの料理は美味い。
なんだか、元気が出るような、暖かくなるような、そんな料理だ。
燭「あの人が作る料理、美味しいよね。」
一緒に注いでいた、燭台切の旦那がそう言った。
薬「ああ、そうだな。」
燭「あと、どこかで食べたことがあるような感じもするんだよ。」
薬「どこかで?それは、同じ万屋で食材を揃えているからではないのか?」
燭「…料理というものはね、そう簡単なものでは無いんだよ。同じ材料であっても、作る人の気持ちによって味は変わる。」
薬「作る人の気持ち…。」
燭「だから僕はね、この一件が本当に成功したら、彼女を認めようと思う。こんなにも暖かい料理を作るんだ。悪い人じゃないと思うよ。」
薬「それは、俺もそう思う。Aは、前までの主とは違う。」
燭「そうだよね。おんなじ気持ちの人がいてよかったよ(笑)なんせ、同室の鶴さんはものすごく拒否してるものだからね。」
薬「あぁ、鶴丸の旦那は無理もないよな。主のせいで大倶利伽羅を失ったようなもんだ。それ相応の憎しみはあるだろう。」
燭「その時に僕は居なかったからね…。でも、それを言ったら、君だって同じだろう?」
薬「俺は…なんでだろうな。やっぱり、ひとりじゃなかったのは、あるかもしれない。それに、刀としてはずっと一緒に居たからな。」
形見のように刀と共に過ごすことのできた俺達と、何もなかった鶴丸の旦那とでは、辛さや憎しみの気持ちの差はやっぱりあると思う。
燭「…刀から元に戻すことができるのなら、伽羅ちゃんを元に戻すことは出来ないのかな。」
薬「どうだろうな…。破壊しているからな、どこでやられたかは覚えているが。」
俺は大倶利伽羅が折れる瞬間を見ていた。
その時代も場所も鮮明に覚えているし、帰ってきた後の鶴丸の喧騒も覚えている。
燭「もし出来るなら、鶴さんも救われるだろうね。」
薬「…そうだな。」
98人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
片瀬(プロフ) - 更新楽しみにしてます☺️ (2023年4月16日 22時) (レス) @page3 id: fce4ac1cc7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あかり | 作成日時:2023年4月16日 9時