私は貴方のヒロインになりたい 2

別行動 ページ12

記憶を無くした私は最近此処にやって来て新一くんの家にお邪魔していたらしい


「成る程。そう言うことでしたか」


この優しそうな沖矢昴と言う人と一緒に暮らしていたとか


「えっと、ごめんなさい？」


「謝る必要はありませんよ。不可抗力ですから」


新一くんの子供の頃にそっくりなコナンくんを見た時は驚いたけど正直助かった

色々教えてくれるから今の所混乱はしていない


「とりあえず、命に別状なくて良かったです」


食べてびっくり、昴さんのカレーは辛くなくて美味しかった


「おかわりありますよ」


「おかわりっ」


思わず、復唱してしまった


「これからどうするおつもりで？」


「...友達に連絡してみようかと、今の私を知らなくて過去の私を知っている人」


「何故です？もっと周りを頼れば宜しいのに」


自分の事だからだろうか


「私には記憶があるので蘭ちゃんの方が大変かなって」


何となく今ある『私』は近い内に消えていく、そんな気がするの


「『今』の私がお世話になった方々にお礼も言いたいですし」


「...少し待ってて下さいね」


「？」


気になる事は全部消していこうと思う

些細な事も残さず綺麗さっぱり消していくの


「暫く、此方に戻られない気がしましたので此れを」


昴さんが出したのはてるてる坊主だった


「Aさん、雨が苦手だったんですよ？」


「雨が...」


「効果はAさんのよりあると思いますので私のをお渡ししましょう」


私、雨女だもんね

正面から言われるとグサッとくるなぁ


「貴女の気が許すまで調べてきて下さい」


「え？」


「そのてるてる坊主に晴れる願掛けでもしておくと良いかもしれませんね」


親が子を抱き締めるような抱擁に包まれたのは久々で吃驚した


「貴女の心が晴れる呪いですよ」


微かに香った匂いには身に覚えがある


(どこ、だっけ？)


「Aさん。いってらっしゃい」



「昴さん！行ってきますっ」


深く聞かず見送ってくれた昴さん

今の彼の表情がどういう表情なのか分からないけど彼が『いってらっしゃい』と言うと何だか元気になる


(よし。まずは電話しよう)


一番は絶交しないって約束してくれた彼に掛けよう

そしてAは公衆電話の受話器を取った






(とは言ったものの、一人か)


事件に巻き込まれたと聞いて焦ったが命に別状はなく、それでも心臓に悪い


「早く戻ってこい」


帰ってきたら料理奮発してもらうことにするか


(それで赦そう)


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