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50曲目 ページ20

左馬刻side


うーん…うーん…と俺様が目の前にいるのに考え事をするAに腹が立ち、サラサラと揺れる髪を緩く引っ張る。


『ん?なに?』


なに?じゃねぇよ。俺がいんのに誰の事考えてんだよ。



俺を見ろよ。



「……は?」

『あ?』

俺、今何考えて……。


無意識に出た言葉の意味が分かった瞬間、柄にも無く顔を熱くなるのを感じる。


『左馬刻?大丈夫?』

「うっせぇ!こっち寄んな!」

『いやだって顔真っ赤だよ?熱あるんじゃない?』


俺が止める隙もなくぴたっと柔らかい手が額に当てられ、更に動揺する。


「な、なんっ、おま…!!」

『日本語喋ってくれる?』


やっぱ左馬刻変だよ。銃兎さんに迎えに来てもらったら?

と続けるAの頭をグシャグシャに撫で回して、ここにいちゃマズいと立ち上がる。


『ちょっ…髪グシャグシャになった…!』

「元からそんなんだったわ。…用事思い出したから帰る。」

『なっ…!?人が心配してんのに…!』


キュッと唇を悔しそうに曲げてから、しっしっと追い払うようにドアを促す。

その姿にまた腹が立ってもう一回痛い目見させてやろうかと思ったその時。



三郎「…ねえさん……?どうしたんですか…?」


「『…っ!?』」


コンコンと控えめなノックが聞こえてきて、寝起きなのか舌足らずな声が聞こえてくる。

今は出ていくな。絶対に。
そうAの目が必死に言う。


『ど、どうしたの三郎?起こしちゃった?』

三郎「いえ…なにか声が聞こえてきたので、具合でも悪いのかなって……」

『ちょっと独り言大きかったね、ごめん三郎』


優しく、あやすような声で言うA。
今のこいつは弟達しか知らねぇこいつなんだろう。


三郎「ね、ねえさん。」

『なぁに?』

三郎「少しだけ、部屋に入っちゃダメですか…?」


抱きしめて欲しいです…。

とドアの向こうから聞こえてくるか細い声に、Aが真顔で立ち上がり俺の手を掴んでベッドに押し倒す。


「お、おい」

『三郎のお願い断れるわけないでしょ。
三郎が出ていくまで布団被ってじっとしてて。声出したら殴る。』


まじかよ。



バサッと乱暴に俺様の上に毛布をかけると視界が暗くなる。
そしてドアが開く音がして、なになら話す声が聞こえてくる。



正直、このまま出て行ってやるのもいいが、Aの匂いに包まれ今は辞めてやるか。大人しくする。




落ち着くな……。


ふわふわと何処か懐かしい匂いに、次第に瞼が落ちていった。

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@がーな(プロフ) - 初めまして!めっちゃくちゃ面白くて、続きが待ち遠しいです!!これからも頑張れです!! (2022年3月21日 10時) (レス) id: ab96b69a73 (このIDを非表示/違反報告)
作者の者(プロフ) - もう…更新しないんだろうなぁ… (2021年8月29日 15時) (レス) id: 2694ed84e1 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 初めから読みました!!めっちゃ続きが気になります!!更新頑張ってください! (2021年1月24日 13時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆあ - とても面白いです!更新頑張ってください。 (2020年8月11日 23時) (レス) id: 40c0d023cb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - はよはよ更新! (2019年9月25日 17時) (レス) id: d201cc0d11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽちねこ | 作成日時:2018年6月20日 20時

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