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side RED
「ちょ、北斗?(笑)
降ろすよ?」
さっきまで座っていた舞台袖の椅子に、苦笑いしながら座らせると、
「ぅっ。はぁっ、なんで…息…できな…
はぁっはぁっ」
ガシッと俺の腕を掴んだまま、大きく背中を波打たせて、肩を上下する苦しそうな呼吸へと変わっていく。
「北斗?…北斗、大丈夫だからっ」
何となく、不安顔の北斗をギュッと抱きしめて、そのまま背中を摩る。
「着替え、なきゃ…っ、はぁっ」
「ゆっくりでいいよ」
まぁ時間は迫っているんだけど。
今度は慎太郎が俺と代わってくれて、俺が着替えている間、北斗も慎太郎に手伝ってもらってやっと着替え終わったらしい。
「……」
甲斐甲斐しく世話を焼く高地や慎太郎を横目に、俺は何故か、それ以上何も出来なかった。
ふと。大我が北斗に近付いた。
「やれるな?」
「…っ、……ったりめーな」
掠れた声で、でもしっかりと。
北斗はそう答えた。
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カーテンコールが終わって、振り返って見ても、北斗はしっかりとした足取りで、汗を拭っていた。
「一時はどうなることかと思ったけど、みんなも、明日はしっかり休んで、また明後日な」
岩もっちゃんの言葉でその日はスグに解散となった。
シャワーを浴びるため、大我と楽屋から出る。
先に出たはずの北斗が、足取りが遅くなって、だんだん俺に近づく。
するとその、瞬間
「っ、はぁっ…」
ドン、と音を立てて、北斗が視界から消えた。
「えっ、北斗!?」
上ずった大我の声が廊下にやけに響いて、スタッフさんや出演メンバーが振り返る。
ズリズリズリと壁沿いに座り込んで、最初はなんとか、倒れまいと壁に手をついていたようだけど、その抵抗も虚しく、磁石が引き付けられるように、床にゆっくりと体が傾く。
「うっ。はぁっはぁっはぁっ……はぁっ…っ、」
「北斗、しっかりしろ!北斗!
北斗、分かる?分かるなら教えて、北斗?
聞こえる?どこが苦しいの?」
大我が北斗の体を揺する。
目は開かないし、さっきとは明らかに違う。
全然、意思疎通がはかれない。
「きゅ、救急車っ!ジェシーっ、救急車っ!」
大我が俺を呼ぶ。
「えっ、俺スマホ楽屋だよっ!」
俺はパニックで、体中のポケットを探りまくる。
「っ、誰でもいいから早く助けろよ!!!」
ビクッと体が震えた。
大我のその太くてデカい声で。
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あーちゃん(プロフ) - あぴさん» ありがとうございます!大変嬉しいお言葉ですが、もう既に消してしまってまして...ごめんなさい!その代わりこちらの更新は頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月8日 23時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 更新、楽しみにしています!他アカウントで書かれている小説も気になるのですがどこから見れますでしょうか? (2019年7月8日 19時) (レス) id: 26199fe34b (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 紡ぎ糸さん» ありがとうございます。中々辛いシーンが続きますが、どうぞお付き合いよろしくお願いします! (2019年7月2日 22時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
紡ぎ糸 - 凄く、この続きが気になります!あーちゃんさんのペースでいいので、これからも、頑張ってください。応援してます! (2019年7月2日 19時) (レス) id: f3cd696ec9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - れく@ きょもほく同盟@まお大好き?さん» ありがとうございます(><)できる範囲でぼちぼちやって行きますのでどうぞお付き合いよろしくお願いします! (2019年7月1日 13時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーちゃん | 作成日時:2019年6月30日 21時