41個目 side少女 ページ43
「これは無理ですね…」
「開かないですね」
オビさんも挑戦してみるが無理だったらしい。私の隣ではまだ白雪さんが挑戦していた。
すると、後ろでラジ王子が声を上げる。
「…ああ!ここか!こっちだ!この左右の鎖を同時に引けば柵が上がる」
ラジ王子は垂れ下がった2本の鎖を指さす。
「それじゃあ…私行きますか?」
「いや、A嬢はお嬢さんのそばに居て」
そう言って、向かって左側の鎖を掴んだオビさん。私はその様子を見て白雪の隣に並んだ。ラジ王子も鎖を掴みオビさんと目を合わせる。
「ゆくぞ」
「いつでも?」
「3 2 1!」
ラジ王子の合図で鎖を引いたものの門は全く微動だにしない。
「……な…」
ラジ王子が何か言おうとした瞬間、壁の一角がパカッと開く。
「!」
「壁!?」
「白雪さん!」
私は咄嗟に白雪さんの手を取り後ろに引っ張った。オビさんもラジ王子の後ろ襟を強く引っ張る。壁からは何かが出て向かいの壁に当たった。
「あ…み 水…?!」
「ただの水か…」
「ですね。矢が飛んでくるかと思いましたよ」
オビさんが言う通り私も矢が飛んでくるかと思い、少々気が抜けた。
「…仕込めば矢も飛ぶ…はず…」
驚いている私たちにげんなりした顔でラジ王子は言った。
「え?!」
「思い出した。侵入者や追跡者用の仕掛けがあちこちにある道に入ったようだ」
そんな仕組みがあったのか…この城。て事はこの城の地下はまるで
「からくり城…」
白雪さんはラジ王子の言葉を聞き、慌て始める。
「!じゃあ引き返した方がー」
その途端、私達が来た方の道が閉ざされ代わりに鉄格子の門が開く。
「なんだというのだッ」
「進むしかない?」
「それしかなさそうですね」
「…」
「ー…やはり、私と白雪どのが一緒にいたところで何にもならぬのではないか…?」
疲れ果てているラジ王子はマイナスな言葉をぽつりと言った。白雪さんはその言葉を聞き少し悩んではいたけどぱっと顔を上げラジ王子を真っ直ぐに見る。
「ーいや!それとこれとは別問題です。ラジ王子、行きましょう。王子の記憶が頼りです」
「…た、頼り…」
「上に出ましょう!」
「ーわ わかっている!」
ラジ王子は白雪さんの言葉に少し気分が戻ったようで立ち上がるとまた先頭に立って歩いていった。
白雪さんってやっぱり凄いな…
それにしても、あの扉誰も何も触っていないのになんで下がってきたんだろう…オビさんと私はしばらくその扉を見つめていた。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時