40個目 side少女 ページ42
「白雪どの」
そうこうしている内にラジ王子が場内案内を持って帰ってきた。2人が話している中私は上を見上げた。あそこに誰かいる…オビさんもそう思ったようで同じ所を見つめた。
「オビさん、あそこ…」
「だね。ー失礼、行かれるのはよろしいですが陰から見物されているようですよ」
「えっ?」
「どっどこからだ!?」
それを聞くと慌てて周囲を見る2人。出来るならラジ王子にも気づいてし欲しかったのが本音だ。
「あちらとか」
「向こうにもいらっしゃいますね」
そう言って指を指すとササッと動く影たち。バレバレなんですがね…
「そういえば、今朝白雪どのと歩いていた時もどうも兵らの固まりが多い気がしていたが…」
「あ…あれ多かったんですね。なんかたくさんいるなと」
「あれも見物か…!」
気づいていなかったのか…ラジ王子って結構気が抜けた方なのかな…
「よい事を思いついた。こっちだ」
「?」
ラジ王子はそう言うと私達をある所へと案内した。
「地下通路への入り口だ」
「地下通路…」
周りには誰もいない中、ラジ王子がその入り口へと入っていく。私達3人も迷わず後を追った。
「普段は使わぬが、ここなら誰もおらぬし目的地へも通じてる」
「なんだか迷いそうですね」
「内部をよく知らぬ者が入ると少々厄介ではあるな」
「えっ?ラジ王子は大丈夫なんですか…?」
ラジ王子の言葉を聞き訝しげに聞く白雪。その言葉に心外だという風にラジ王子は振り返る。
「失敬な!私は昔道を覚える為に何度か来ている!」
そうして、前をずんずんと歩くラジ王子だったが、どうにも不安感は拭いきれなかった。
しばらく歩き、1つの出口に辿り着く。
「ここですか?」
「む…いやもう少し先だな」
そんなことが何回か続き、かれこれもう何十分歩いているだろうか。
私達はラジ王子の後ろで目を合わせた。
「あの…ラジ王子。あとどのくらいで目的地に?」
白雪さんが前を行くラジ王子に話し掛けると肩をビクッと揺らすラジ王子。
「…もう直だ!もう随分歩いたからな!!こっちだ!」
でもここって…
「ここ先程も通りましたが」
「そうですよね」
「王子…もしかして迷…」
「違う!!」
ラジ王子は大きな声でそう仰るが、これはどう考えても迷ってしまったな…
しばらく歩くと目の前に鉄格子の門が現れる。
「何故行き止まりなのだ!!」
「開かない所なんですか」
試しに鉄格子に手を掛けて上に持ち上げてみるがビクともしなかった。
78人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時