MISSING TWINs (ページ47)

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ⅩⅩⅩⅩⅥ ページ47

「…は？」

どういう意味なんて聞き返すことはしない。
今の言葉は普通の好きとは違う意味だ。

「そりゃあ、妹みたいで好きだけどさ。そーゆー下世話な意味ではない」

「そう？」

「そうだから。俺が本気でホレてるのは別の人。決して親戚の中には居ないから」

「ふーん」

「…大我、信じてないだろ」

「耳まで赤いけど？」

「そりゃあ実は従妹の名前です。とか告白しなきゃならない俺の気持ちにもなってみてみろー」

「………はずっ」

「だろ？」

「変なこと言った、ごめん」

「誤解が解けたならいいですー」

本当は、さっきの大我くんの表情にドキドキしたから。
細くなった目がとても優しくて、僅かに上がった口角が柔らかくて、少しだけ、切なそうに顰められた眉。
長い間見つめてきたのに、全然知らなかった。
初めて大我くんの本心を垣間見た気がして、異様に鼓動は高鳴った。
その表情を見たことあるのが自分だけだったらいいな。と、無理難題をそっと無音で告げる。

「はい。どうぞ」

「どうもありがとうございます」

「芹にサイン頼まれる日が来るとか夢にも思わなかった」

「俺はいつか言われるなーって思ってた」

「俺にとって芹ってさ、遠い存在だったんだよなー」

「…俺そんなに距離取ってる？」

「いや、今じゃなくて昔の話。父親が芹の噂聞きつけて、俺を引っ張って舞台見に行ったことあんの。俺と同じ年の小さい子がさ、大人顔負けの演技力で舞台の上で叫んでた。『こんなの僕が望んだことじゃない！』って」

「マジか。舞台見てたとか初耳」

「マジでーす。悲しげな表情も、一緒に泣きそうになるくらいの悲痛な叫びも、すげえ！ってなった。それで、めちゃくちゃ憧れた。こんなヤツに俺もなりたい！って」

「な、なんか…そこまで言われると恥ずかしいんだけど…」

「で、父親からジャニーさんが俺をスカウトしてくれてるって聞いて、即決でジャニーズ入ったんだ。憧れの相手に近づきたいって」

「…」

「最初は浮かれてて、その日が近づくとちょっと不安になってさ。ちゃんと話せるかとか、ダンス出来るかとか。そんな不安いっぱいで初めて事務所に来た日、芹も不安抱えてる人間なんだって嬉しくなった。だってさ、突然の『よしっ！頑張るぞ！』だったし」

「そこでその話掘り返すか…」

「そんな憧れの人にサイン強請られようになるとか、俺カッコよくね？」

「結局そこかよ」

大我くんは最初からずっとカッコいいよ。