MISSING TWINs (ページ9)

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Ⅷ ページ9

「芹！フリが甘い！」

「はいっ！すみません！皆さんもう一度お願いします！」

頭を下げれば一緒に踊っていたメンバーはにこやかにOKと応え、また頭から通しのレッスン。
ドラマの為にカットできない髪が邪魔だ。
流れてくる汗も邪魔だ。
体内で響く自分の鼓動さえ邪魔だ。

「よしっ！今日はここまで！」

「ありがとうございました！！」

先生を見送ったあと、座り込んだ私と同じようにJ.J.Expressのメンバー達も腰を下ろしていた。

「皆…僕のせいで何度も踊らせてごめんなさい」

「芹くんの、せいじゃないって」

「先生、芹くんならもっとやれるって、思ってるよね、アレ」

「あ゛ー水ぅー誰か水くださいー」

息も絶え絶えの裕翔くん、辰哉くんが私に向けて苦笑い。
良亮くんはレッスン室の端に控えていたJr.に向けて、寝そべったまま腕だけを伸ばした。
何度も踊らせてしまった罪悪感と、期待にすぐに応えられなかった自分に対する腹立たしさで下唇をギリリと噛む。

「お疲れ様です！」

「うひゃあっ！」

「あははははっ」

「大我くん！冷たいよ！」

ピタリとうなじにあてられたよく冷えたミネラルウォーターに飛び上がれば、レッスン室は瞬く間に笑いの渦。
当の大我くんは本当に楽しそうに笑いながらそれを私に差し出した。

「あんまり芹いじめるなよー。根っから真面目だから落ち込むぞー」

「雄也くん、僕そんなに落ち込んだりしないんですけど？」

「いーや、この間の少クラでも１人反省会してたの知ってるかんなー」

「はっ！？どこで見てたんです！？」

「う・そ♡」

「～～っ！！！」

引っ掛かった悔しさで髙木くんに向けて汗でビシャビシャのタオルを投げつける。
こえーなんて思ってもない声で宣いながら拾い上げたタオルを投げ返してくれた。

「くそっ！」

「芹くんもそんな言葉遣いするんだ」

まじまじと私を見つめる大我くんが差し出すペットボトルを受け取り、呷る。

「ぷはっ。で、大我くん、それどういう意味かな？」

「それそれ。いっつも笑顔で優しく話してるから、そんなイメージ無くって」

「そうかな？」

「うん。さっきの方がカッコいい！」

「あ、ありがとう…？」

「どういたしまして！ねぇ！僕も練習したからフリ見て！」

パタパタと駆けていく大我くんを皮切りに、控えていたJr.達がバテているメンバーに背中を押されて空いているスペースで練習を始める。
やっぱり、大我くんが一番だ。