MISSING TWINs (ページ3)

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Ⅱ ページ3

結論から言います。
私、京本大我くんではありませんでした。
武藤大我。
それが私の名前。
性別は、男。
すくすくと育ち、産まれ落ちて４年。
ちょっとしたミスで天才だと持て囃されています。

「大我、これは？」

「必定」

「これは？」

「林檎」

「これは？」

「竜頭蛇尾」

「すごいすごい！大我はお勉強家ね！」

４歳児がこんなに読めたら普通は不気味だと思うのだけれど…

「次は数学やってみましょうねー」

「うん」

算数ではないのがミソよね…。
毎日こんなクイズのような勉強会を繰り返している。
こうなったのは他でもない。
私自身のせい。
今の母の本棚に並んでいた懐かしいミステリー小説。
それをパラパラと読み進めているのを認められてしまったのだ。
知識が後退していないのが仇になった。

「大我ーピアノの時間よー」

「はーい」

子供の短い指では中々に難しいけれど、ピアノも歌も好き。
速い曲はまだ弾きにくいけれどもう少し大きくなったら弾けるようになるだろう。
今の両親は私を不気味に思うこと無く、素直に凄いと褒めてくれた。
更に私の才能を伸ばそうと、様々な習い事をさせてくれる。
ピアノに始まり、英会話。
ダンス。
ダンスに至ってはバレエ、舞踊と色々で、ピアノ以外の楽器も習わせてくれた。
そこそこ裕福な家庭で、一人息子だからだなぁと思う。
お陰様で、小学校に入るまでにはスーパーマン状態。近隣の方々にも名の知れた少年になった。
たまに老人会の集まりに呼ばれて芸姑さん紛いの舞踊を披露するのも一因だろうと反省をしながら後悔はしない。

私は男じゃないんだけどね！！中身は！！

そんな生活を過ごして、いっそのこと？と私は１つの行動を起こした。
それは劇団に所属すること。
両親は心配はしても反対はせず、初舞台は所属してすぐ、６歳だった。
舞台はとても楽しい。
演技も、ダンスも、歌も、私の好きなものがたくさん詰まっている。
ただ一つ、物足りないのは本当に好きなものがそこにはないから。
本来の世界に居た有名人は今の世界にも居た。

大我くんがこの世界にもいるなら、いつかきちんと存在するあの事務所に行くだろう。
その時までに、私は私を世界に響かせて、大我くんに凄いと言われてみたい。
恋人にはなれないから、せめて大我くんに尊敬される人に、憧れられる人になりたくて、年齢にそぐわない分刻みのスケジュールを熟した。