prologue ページ1
「楽しかったー」
「ねっ！慎太郎くんめちゃカッコよかったー！」
「ふーん、否定はしないけど、私はやっぱり大我くんだなー」
「優美は優吾くんが好きだから」
「ジェシー様ぁ…ほぅ…」
「楽しかった事には同意」
今時女子の夏海、まったり癒し系の優美、自称腹黒のいじられキャラありす、二面性を異性に出しまくる響希、そして他称天然エロス系の私は高校からの同級生。
そして私達のお姉さん的存在の紫姫。
全員担当違いの同グループ推しとなれば、よく一緒に収録やコンサートに行く事に違和感はないでしょう？
コンサートの後の心地好い高揚感。
仲の良い６人でここが良かった、あそこは最高だったと瞳を煌めかせながら興奮気味に語り合う。
輝かしいステージの上でキラキラの笑顔を弾けさせ、伸びやかな歌声を披露する大我くんを思い出し、ふと足を止めて会場を振り返る。
同じ空間に居た。
それだけで幸せで、アイドルとファン以外の関わりのない私は、長年育ててきた恋心に少しだけ水を注ぐ。
アリーナを取れたのはラッキーだった…と言いたいところだが、ありすのじゃんけんにさえ発揮される強運を思えば当然の結果。
お陰様で公開収録も行けた。
電子版１枚も隔てる物の無い大我くんを思い出す。
無邪気で、でもどこかずれてる人で、一生懸命なちょっと人見知りの運動が苦手な１つ歳上の男性。
母の買うアイドル雑誌でフレッシュJr.として載った瞬間に、一目で焦がれた。
笑顔が苦手なのか、とてもぎこちない笑顔が目を引いて、他の人なんて１人として記憶に残らなかった。
「大我くん、すごくカッコよかったよー」
ぽそりと会場に向けて告げる私の顔は、きっと恥ずかしいくらいに緩んでいるだろう。
『京本大我さん、貴方が好きです』
一生告げることの無い本気の告白を心の中で告げてクルリと踵を返す。
「芹ー！行くよー！」
夏海の私を呼ぶ声に
「今行くよー」
と一言返し駆け出した。
ーーーーキイィィィィ！！
「芹っ！！！」
眩いランプ、聞いたこともない声が私を呼んで
ーーードンッ！！
響いた衝突音。
遠く反響する悲鳴。
友人の私を呼ぶ声。
一瞬の後に消え去った激痛。
最期の視界に映ったのは眩い光に舞う、鮮やかな
赤。
朱。
緋。
そして誰かの腕だった。
、
ラッキーアイテム
佐藤龍我のぶりぶりざ○もん
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作者名：Fin. | 作成日時：2019年3月28日 1時
