3、世界 ページ4
おさまらない頭痛をどうにかしたくて、重い体を持ち上げた。
乾いた砂を踏み、足跡をつけて歩く。
ここはなんという地なのか。ぼくは誰なのか。ぼくはどうしてぼくなのか…
まったく分からない。
もしかしたら、この近くに人がいて、何か知っているかもしれない。
なにか思い出せるかもしれない。
そう思って、浜辺を踏みしめた。
しばらく歩くと、少しわかることがあった。
たとえば、生き物や植物、鉱石。
花、石、蝶…と、それらの名前は分かるが、なんという種類かは分からなかった。
どうやら忘れているのは自分のことだけのようだが、世界のものの記憶も少し忘れているようだ。
そんなことを冷静に確かめながら、ぼくはただひたすら崖にそって歩んでいった。
崖にそって浜辺を歩いていくと、行き止まりにあたった。
右はごつごつした岩壁、左は海水。それが遠くまで続いている。
決して人の通ることのできる道ではないーというか、ここは道ではない。
目覚めて早速、
「詰んだ」
どうしようか考えると、直感的にあることを思いついた。
壁…のぼれるんじゃないか?と。
幸い右の岩壁は大した高さではなく、ぼくの身長のちょうど2倍ぶんくらいだ。
この壁を越えた先は恐らく開けた土地だ。さすれば、人の集落や建物があるかもしれない。
岩の凹みに手をかけ、体重をぐっと持ち上げる。
案外体は軽い。
足をかけ、手をかけ、持ち上げる。これを少し繰り返せばすぐに世界が広がっていった。
体を思い切り持ち上げ、その地にしっかりと足をつける。
ぼくの口からは意図せず感嘆の声がこぼれた。
広く続く平地。石でできた道に、川、遠くにちらばる山々。少し向こうには、建物がいくつか見え、大きな都市のようなものもある。
そこは、どこまでも自然で、雄大で、美しい世界だった。
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あねも2世(プロフ) - 月城兎焰樹さん» 確認しました (6月13日 13時) (レス) id: 4f3cc5c552 (このIDを非表示/違反報告)
月城兎焰樹(プロフ) - 申請させていただきました。 (6月11日 0時) (レス) id: da00eb3903 (このIDを非表示/違反報告)
あねも2世(プロフ) - 他にフレンドなりたい方いれば下のコメントのIDみてくださいね!申請は一言言って下さると助かります、。 (6月7日 16時) (レス) id: 4f3cc5c552 (このIDを非表示/違反報告)
あねも2世(プロフ) - 月城兎焰樹さん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません!IDは863621180です。よろしくお願いしますー! (6月7日 15時) (レス) id: 4f3cc5c552 (このIDを非表示/違反報告)
月城兎焰樹(プロフ) - 雑魚ですがフレンドなって欲しいです (6月3日 1時) (レス) id: da00eb3903 (このIDを非表示/違反報告)
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