ライト・ブライト・ハイライト2(yb×yt)

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「んゃ…ぶく……ふ」

「……んー？」


あ、いじわる。
いじわるな顔した。

Tシャツの裾にするする入っていく手を叩くと、
不服そうにキスを止める。


「もうだめ」

「む」

「明日、立てなくなったらどうしてくれるの」

「お姫様抱っこしてやるよ」

「…ばか」


ちょっといいかも、って思った俺もばかだけど。
やぶくんの親指が惜しいとばかりに耳を撫でると
ふわふわと身体が浮きそうになる。


「裕翔にあうだろうなぁ、白」

「やまが作ってくれたお揃い、まだ見てないんだけど…たのしみ」


ゆーてぃー、
マリッジブルーになりそうだから心配。

知念の電話の声と、

その背後でカタカタ鳴るミシンの音を思い出す。


やまと知念が一緒に住み始めたって聞いた時は驚いた。
やまの同居人兼恋人が居なくなった寂しさでどうにかなりそうだからって頼み込まれたらしい。

最初は呆れてたけど、やまの手料理で完全に胃袋を掴まれたらしく、居心地よく暮らしているみたい。


「そういやさっき電話きたんだけどさ、伊野尾。帰ってこれるらしい」

「えっ、そうなの？」

「うん。レセプションが早く終わったとかなんとか言ってたけど…ありゃ、自分から切り上げたな」

「ふふ」


やまに連絡しようか、
とも思ったけどいい時間だしなぁ。
サプライズのほうが嬉しさひとしお…というか泣いちゃうかな。

感情豊かな彼の反応を思うとつい頬が緩む。


そんな場になることが嬉しい。


「やま喜ぶだろうなぁ」

「……裕翔」

「なに？」


「あの、さ…」


目が合った瞬間、見たことない気まずそうな表情。
らしくない。

俺じゃなくてやぶくんのほうがマリッジブルーだよ？
そう言うとへぇ、と知念の驚いた声が返ってきたことも思い出す。

やぶくんは、俺を陶器とかガラスみたいに思ってるところがある。
シャッターを押す度に命を削ってる、とかそんな芸術家じみた風に書かれてたせいかな。


「スーツだけじゃなくて、
山田くんもうひとパターン作ったらしくて」

「うん」

「…これ、なんだけど」



スマホの光が眩しいせい、ではなくて。

そこに写ってた真っ白のドレスの白さにクラクラしたから。


メールには『頼まれた訳じゃないけど、記念に作ったから持っていくね。』の文字。


「…綺麗」

「…うん」

「で、でも着れないよ？
こんなウエストも胸もないし…綺麗だけど」


ぎゅう、と握ったやぶくんのスマホ。
ぎゅう、と鳴る心臓。



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