ライト・ブライト・ハイライト2(yb×yt)

出張(yb×yt) ページ14

「眠姫みたいだな、おはよ」


「やぶく…あれ……えっ！もうこんな時間？！」

「あんまりぐっすり寝てるからさ、
起こせなかった」


またフワリとふれる薄いくちびるに泣きそうになる。
ほんとはお弁当も冷えた麦茶も手渡して、
いってらっしゃい！気をつけてね！ってお見送りする予定だったのに……

しゅん、と落ち込んだ顔を見て、
やぶくんはまたちゅーをした。


「美味しいご飯なら昨日食ったし、裕翔の声朝からえろいし気使うな」

「えろくないし」

「ふは、まぁ行ってくるよ」


水色の落ち着いたネクタイ。
ゆらりと揺れて離れようとするものだから、
手首を掴んで引き止めた。

わがまま。

だけど、新婚の俺からすると2日間会えないのは
ちょっとハードルが高かったりして。


「ん？」

「……ぎゅって、して」


こどもみたい。

寝癖だらけの俺の頭をわしゃわしゃして、
きっと行ってしまうけど。

でも、そんな思いとは裏腹に、やぶくんは俺の言う通りにぎゅってしてくれて。

またちゅう、と甘いキス。


「困ったな、いつまで経っても出らんないじゃん」

「…出ちゃやだ」

「素直だな、今日は」


電話もメールもするし、変なお店には行かないようにするし、って背中ポンポンしながら言うけど、

会えないものは会えないじゃん。
ばーか。


「…つかさ、」

「なに」

「裕翔のほうが心配なんだけど？」


はた、と視線を合わせると照れてあかいかお。
なに想像したの？


「…今日個展の初日だろ？ パーティー」

「うん、それが？」


首にチューしたら怒るかな。
というか、はしたない彼女がいるって思われたら俺が嫌かも。


「あの先輩？ 来たら嫌だなーって」

「ふふ、大丈夫だよ。
何回も言うけど、あの人小柄な子が好みだから」

「裕翔は特別って、言われたんだけど」

「へ？」

「いや、なんでもない」


ボディタッチ多めのアメリカで知り合ったカメラマンの先輩。
結婚式の時も、やぶくんが俺の腰にまわる先輩の手を何度も弾いてたっけ。


「…あんま、触られたくないんだけど」

「…っわかった……きをつける」


やぶくんのくちびるが、俺の首筋に噛み付いて思わず反応する身体。
キスマーク付けるの珍しい。

それほど心配ってこと？


キュン、と鳴った心臓にほだされてしがみつくと


「玄関まで抱っこしたまま行こっか」


って、子ども扱い。


それでも良いって思えるのはやぶくんだから。


「指輪外しちゃやだよ」

「こっちのセリフ」


end.

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