ライト・ブライト・ハイライト2(yb×yt)

レフ板 ページ1

部室に入ると、既に何人もの後輩の姿。

キラキラと目を輝かせている人も、
先輩の晴れ舞台だから…と話し合ってる真面目なメンバーもいて。


「おつかれ、そろそろライブハウス行こっか」

「はい！」
「よっしゃー！行きますかっ」


大きい楽器はもう運び込まれているから、後は各々ギターやベースを持って移動する。

俺は後輩のギターをひとつ担いで列の先頭に立つとゆるゆると着いてくるみんな。
これも最後。

徒歩で行ける距離にある大きなライブハウスは、
新入生歓迎会とラストライブだけ使われる舞台。


やぶくんがいた頃は、あと2回くらいやってたのにね。あれはあの時代でしか叶えることができないことだったのだ。


「中島先輩、あの」

「なに？」

「…ライブ終わったら、
楽屋裏に来てもらってもいいですか…？」

「……いいけど」

「ありがとうございます！」


告白だな。

わかりやす。


いつにも増して目が大きく見えるのは、多分カラーコンタクトのせいだろうか。


「裕翔〜！」

「圭人、あれ？ 先着いてたの？」

「うん、直接来ちゃった」


にこにこ笑う圭人。
ほんの少し目が潤んでるけど、
突っ込まないでおこう。


「もぎりはふたり、女子がいいかな。
照明の相談は今からオーナーとするからバンドの代表者きて。後は順番確認して自由にしてて」


圭人の指示が飛んで、俺が扉を開いた。
やっぱり、比べ物にならないくらい広い。

ライブへの期待で膨らむ気持ちと相まって、
ここで初めてライブしたことを思い出した。

「緊張してる？」

やぶくんがそう優しく声をかけてくれたんだっけ。
そうだ、薮先輩がセンターで歌ってくれるなら…
もう怖いものなんてどこにもないじゃん。


「…あったなぁ、そんなこと」


担いだギターを握り直すと、
俺は自然と笑っていた。

もっと悲しくなるのかなって、思ってたのになぁ。


「裕翔、いい？」

「うん！」


ステージ見てたら楽しかったことしか思い出さないのが不思議だ。

戻ることはないかもしれない。

でも、思い出はずっとここにある。



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