双黒と一人の喰種【文スト】【東京喰種】 (ページ4)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:8,221 hit

3 ページ4

・

「げっ…太宰ィ…」
「げっ…中也…」

見事な迄のハモリ。横浜の一角にある喫茶処で二人は出会した。

店内はとても清潔感があり、若い女の子が入るというより、少し大人びた人が店に入りそうな感じだった。

「久しいね。蛞蝓。」

「うるせぇ、青鯖。」

二人して窓側の席に向かい合う状態で座る。二人の後に入ってきた人からすると異様な迄に異様だった。

二人の手元には本が入った包装紙と服だろうか…それらしき物を入れる袋があった。

「御注文は？お決まりですかぁ？」

やけに語尾の伸ばす給仕さん。だが、二人には他の目的があった為どうでも良かったが一応メニューを確認した。

暫くして、メニュー一覧を閉じ、

「珈琲、ブラックで。」
「ランチセットで。」

と殆ど、同時に云った。

「ブラックとランチセットですねぇ。畏まりました。暫くお待ちくださいまし。」

と云って給仕は奥へ戻っていった。

数刻分が経った時、窓を眺めていたはずの中也が急に立ちがあった。

「太宰。お前、昔の逢った人を見つけた、と云ったら如何する。」

「昔…？……！あの子かい？」

嗚呼、あの子だ。中也は小走りで駆け出しながら応えた。それを聞いた太宰は直ぐ様立ち上がり、レジにいた給仕に代金を出し、中也を追いかけた。

・

女を追いかけ、二人が辿り着いたのは路地裏。

そこにはお面を着け、朱色の外套を着た女が立っていた。

そして、笑いながら二人は

「やっと、見つけた。」
「漸く、見つけた。

と云った。