私がこの世でいちばんです (ページ37)

今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:367,263 hit

36 ページ37

ーside SGー

分かっていた。

俺らに人懐こく話しかけるのは、カメラがあるから。
まるで自分自身に言い聞かせるみたいに話しかけてくる姿を見る度に遠く感じた。

彼女から表情が消えた。

"ユンギさん"と他人行儀な話し方に変わる。

何故優しくしたか？

優しくしたつもりなんてない。
ただ、一緒に音楽を作るのが久々に楽しくて。

こんな気持ち、理解できないだろうな。

作曲してる時の真剣な横顔、良いメロディーができた時の純粋に嬉しそうな表情。

なぁ。お前にとって、ずっと俺は他人だった？

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーside CELIー

ずっとズカズカと踏み込まれるのが嫌いだった。

所詮、他人。
どん底に落ちた時、突然ハイエナのように牙を剥く。

だからこそ、常にTOPであれるように努力した。
底なんて見えないほど高いところで輝いていれば良い事だ。

他人を信用し過ぎず、弱味を見せず。
一定の距離を保てば。

元から心の中に入れなければ、無くなっても心にスペースはあかない。

『...どうせ赤の他人じゃん。何かあれば、すぐに離れて行く。』

SG「...じゃあ、俺らもまだ赤の他人なの？本当に？一緒に居て、何も思わず他人だって線引きしてた？」

『分からない。』

でも。

ユンギさんと作業室にこもって音楽を作っていた時。
ホソクさんとダンスを踊った時。
ナムジュンさんとラップについて話した時。

楽しい、なんて思ってしまって。

SG「何を勘違いしてるか分からないけど。俺ら、お前が思ってるほど愛想良くないし、認めた奴しか仲良くしないんだよね。逆に言えば、せっかく出来た"仲間"から簡単に離れるほど淡白でもない。」

"今さら離れられると思ってるなら、大間違いだぞ。"

＿＿ポタリ。
涙が溢れ落ちた。

SG「俺、対人恐怖症なんだよ。いまでも人と話す時に手が震えたりもする。それでも、CELI。俺はお前を今さら手放したくはないよ。」

その言葉に、驚いて目を見開く。

『____っ！』

フワリ、と抱きしめられる。
不器用に、男にするみたいに強くて。

それから泣き疲れて眠るまで、オッパ(・・・)は抱きしめてくれていた。