私がこの世でいちばんです (ページ3)

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ーside SOLー

出会ったのは、彼女が当時15歳の頃だった。

GD「ねえ、俺すごい子見つけちゃったかも」

珍しく興奮した様に話すジヨンに連れられて来た、人通りのほとんどない、事務所でも1番小さな練習室。
～♫！！

部屋の外なのに身体の芯まで揺さぶる様な、圧倒的な声量。
吸い込まれるように近づくと、その細い身体では考えられない程の太い声で歌いながら一心不乱に踊る少女が居た。
これまでに見た事のないレベルの美貌に息を飲む。

GD「あんだけ激しく踊ってさ、声がブレないんだよ。ハンパないだろ？」

それだけじゃない。彼女の独特のオーラ。鳥肌が立つような、圧倒的な何かを彼女は持っていた。

練習が終わったのを見計らって中に入り、名前を聞いて半ば強引に連絡先を聞いたりして。
それからAと仲良くなった。

Aはその頃から団体レッスンへの参加を禁止されたり、オーディション番組への応募すら禁止されるなどしておりやや孤立した存在だったため、俺たちが話しかけると可愛らしく嬉しそうに寄って来て、すぐに他のメンバーのハートを掴んだ。

(あとで社長に聞いた話だが、彼女の美貌で集中力を欠く練習生が怪我をしたり、女子の練習生達がAを見て挫折し、辞めていく事案が多発したため個人レッスンのみに絞ったらしい)

同年代の友達の居ない中、1人でデビューできない不安や孤独と闘いながら、黙々と練習に取り組み続けて3年。
彼女のデビューを聞いた時、死ぬほど嬉しかった。

やっと、あの血の滲むような努力が報われたのか、と。

CEL「CELIの名を世界に轟かせてやるから」
そう言った彼女の目は本気そのもので。
あぁ、この子はこの自信を手にするまでにどれだけのものを犠牲にしたのだろう、と思った。
もう、そんな勝ち気な彼女の言葉を笑う者は1人もいないだろう。

モンスター誕生の予感に、体が震えた。

ーside GDー

電話を切って、自室のベッドに寝転ぶ。
あぁ、兵役中じゃなければ真っ先に大切なあの子の元へ飛んで行ってお祝いしたのに。

CEL「他のアイドルが挫折するくらい、、」

勝ち気な発言も、あながち夢じゃないと思えるのは彼女の実力を知っているから。
久々に画面越しに見た彼女は、あの独特のオーラに加えて危険な程の色気を身につけていた。

きっとこれから何度も辛いことがあるだろう。
まあ俺らのかわいい妹は、そんな簡単にへこたれる様なやわなメンタルではなだろうが。

ちゃんと、守ってくれよ。お前ら。