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「じゃーねー！」
下まで降りて見送ると言う雅紀を宥めて結局部屋の玄関で手を振ってくれた。
「うん。ありがと、また。」
「いつでも言ってー。先に俺からも呼び出しちゃうかもだけど。」
「いつでも。」
「あー！翔ちゃんは松潤いるんだからいつでもなんて言っちゃダメだってば。笑」
「ふふ。」
笑ってお別れしたものの誰もいない家に戻るのは寂しい気がした。
少しだけ離れたところでタクシーに降ろしてもらって、走り去ったのを確認してから歩き出す。
あれ。
マンションの裏側から無意識に見上げた部屋から灯り｡
それが見えるってことはカーテンが開いてるってことで。
中に人がいるってことで。
それは潤しかありえない。
まさかオンナ連れ込んでるの？いや、まさか。
エレベーターの上昇中も散々考えあぐねたけど、気持ちを決めて部屋のドアロックを解除。
明るいリビングには潤が1人。
安心も束の間、こうなるとこうなるで深夜2時の不思議な光景に不安感が募る。
「潤？ただいま。」
「おかえり」
すっと立ち上がって振り返った潤の顔に表情はない。
途端、優しく抱きしめられる。
やはりそこから香るのは何度か感じたことあるいかにもオンナが好きそうな甘ったるい且つ潤には似合わないニオイ。
「相葉くんのニオイ。」
「お前だって、お気に入りのヤツの香水残ってる。」
「お気に入りじゃない。アイツはもうお終い。楽しくなくなった。」
「だから、早かったんだ。」
俺だけじゃダメ？と女々しいことを考える資格のない俺は厚い背中に腕を回しただけ。
「もっとおしとやかなコ、探そ。」
「もうストック何人目？笑」
「忘れた。」
「ふーん。」
「ね、シて？物足りないの。」
「やだよ。」
「嘘。」
まあ結局ずるずる引きづられて気づけばベッド。
あーあ、明日の俺動けんのかな。
ドロドロの瞳が俺を捉えて笑う。
「ねぇ、翔くん。アイシテル、」
「ん、おれも。」
「言って」
「じゅん、アイシテルよ、」
愛してるの。
ーfin
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作者名：すす | 作成日時：2020年11月15日 18時
