こもれび (ページ14)

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はらぺこページ14

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電信柱と木、ね。

翔くんに解説を頼もうかとしている時に
目に入ったデジタル時計が19時を示していた。

翔くんも俺の驚きに気づいて、

横に置いてある
お盆に乗ったふたつのマグを指さす。

「あ、持ってきてくれたんだ？」

うん、と頷く翔くんにマグを取ろうとすると止められて、気にせず口に含むと元は温かかったか怪しいくらい冷めていて。

『ずっと見てた。』

紙に足された文字。

ふーん。なんか嬉しいな。

『智くんが描く世界が俺が見えてる世界の全部だったらいいのに。』

『智くんの絵から聞こえる音が一番綺麗だよ。』

翔くんに今までもらった言葉を思い出しても
翔くんが俺の絵が大好きなことくらいわかってる。

それでも改めてそんな風にのめり込んでくれるのは
やっぱり嬉しいし、自信もつくし、自分を作品ごと愛せる気がする。

なんて優しい世界に浸っていると、
ぐぅぅぅぅぅ！と俺の腹が鳴った。

恥ずかしがってる俺を見て、
一瞬だけ不思議そうにした翔くんもすぐに理解して、

リビングに連れ出してくれた。

そういや朝から何も食べてないや。

キッチンを軽く漁って、
なんとも言えない違和感に出会った。

翔くんを見て問いかける。

「昼、何食べた？」

もう何も言わなくていいよ。

誤魔化そうとしてるけど、何も食べてないんでしょ。

おい、、散歩の意味どこいった。

眉を下げる翔くんと、
頭を抱える俺がキッチンで立ち往生した。