■54.ラッキースケベ ページ10
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出水side.
「おい知ってっか？」
「あ？何がだよ」
さんさんと太陽がてり出す真昼。1月だから肌寒いどころではないが、いつも通り屋上で昼ごはんを食べる。
「Aのファンクラブが出来てるらしい」
「は？ファンクラブ？」
「そそ、なんでも入隊式で新入隊員がAのファンになったらしくて、勝手に立ち上げたらしいんだけど、意外と大きくなっちまったらしい」
「……何やってんだあのルックス詐欺」
「Aも末恐ろしいね」と米屋が言った瞬間、バンっと屋上のドアが開く。そこに現れたのはさっきまで噂してたやつ。両手に俺と米屋が頼んだジュースを持ち、不機嫌に顔を歪める。この姿を見てファンクラブのメンバー何人減るのだろうと冷静に考える。
『ちょっと！人にパしらせておいて先に食べてるとか最低！』
「だってAおせーんだもん」
『ものの3分ぐらいじゃん！』
「3分も待ってたらラーメンが出来ちまう」
『米屋くんが食べているのはパンですよね？ラーメンは関係ないですよね？』
『全く』とAがこっちに歩いて来た瞬間ブワッと強い風が吹く。風に煽られてフワッとAのスカートが舞う。
あ……
「……黒」
ボソッと無意識に言ってしまい、我に帰った瞬間やべっと口を塞ぐ。目の前のAは顔を真っ赤にして「公平の変態野郎！」と手に持っていた俺たちのジュースを投げつけて、屋上から出ていってしまった。
俺はやっちまったと頭を抱えるがもう後の祭りだ。
俺を見ながらニヤニヤしている米屋。
「よっムッツリ」
「うるせぇよ……お前だってムッツリだろうが」
「残念だったな。俺はどっちかいうとオープン寄りだ」
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