■84.君との思い出 ページ41
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ー10年前ー
城戸side.
桜が満開に咲き誇る春、俺は導かれるように幼い頃に川瀬真子と一緒に遊んだ思い出の場所に着いていた。特に用事はなかったが、何となくこの場所にきたくなった。公園ベンチに座り、満開に咲き誇る桜を見る。綺麗だ。
何分、何時間そこにいたのだろう。長い時間その場所から桜を眺めていた。すると、公園に2人の親子が入ってくるのが見えた。
『お母さんー！見て見て！桜綺麗だよ！』
「もう。はしゃぎ過ぎて転ばないでよ」
母親の声に聞き覚えがあり、慌てて親子を見る。そこに居たのは昔のアイツにそっくりな女の子を連れた成長した
『？お母さんの知り合い？』
「うん。昔からの知り合いよ、Aごめんね。ちょっとあっちで遊んでくれる？お母さんお話したいことがあるの」
『分かったー！砂場行ってくる！』
Aと呼ばれた子は真子に言われたことに従順に走って砂場の方へ行った。女の子を見送った後、真子は「お待たせ」と2人でベンチに座る。
「あの子は……」
「私とあの人の子よ。今年で7歳になるの」
「！……あいつは……空閑はこのことを知っているのか？」
「……知らないわ。あの子ができてすぐに別れたから」
「なんでだ！！お前なら__」
「"視ていた"わあの子ができる未来の自分を」
私が言いたかったことを先に言った真子は遠くで遊んでいる我が子を見ている。その横顔は儚く今にも消えそうだった。
「それと同時にあの人が旅する姿も視たの。あの人は私が妊娠したって知ってたら、近界に行かなかったと思うし、だから言わなかったの」
「……それでも」
「正くんもそうだけど、あの人がこの世界で留まるのは勿体ないし、あの人にはあの人のやるべきことがある。……それに足枷にはなりたくなかったの」
「……」
「私はその選択を後悔したことはないわ。…それにあの人は私に大切な宝物を置いていってくれた」
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