びーきゅー隊員ちゃん。Ⅱ【wt】 (ページ34)

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■78. ページ34

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ーー母のことを知ってる

舩が消えていった空をボーと眺める。

ハッと修くんの存在に気づき、痛む体を引きずりながら近寄る。

『……っ！修くん！！！』

修くんの意識はなく、呼びかけても返事がない。

ドクドクと修くんの身体から出ていく血があの日を嫌でも思い出してしまう。映像が頭の中で流れ出す。

赤い血……

ーーお母さん！！！死んじゃダメだよ！！

ーーいや……いや……っ！！！

ーーお母さん！！！

頭中に広がるあの日の記憶。

あの日、お母さんは帰らぬ人となった。

嫌だっ、目の前で誰かが死ぬのは嫌だ！！

『修くん！しっかりして！！！』

いくら話しかけても返事がない。私の目からボロボロと涙が零れ落ちる。私は身体の痛みなんか忘れて修を背中に抱え、基地に向かって歩こうとした。

……助けなきゃっ
その思いだけが先行する。
すると後ろから複数の声が聞こえた。

「メガネ先輩！！」

「A！！」

『米屋……っ』

私たちに気づき走って近づいてくる米屋とC級隊員の女の子。私たちの姿を見て珍しく焦っている米屋、私を見て激怒している。

「お前何やってんだよ！！そんな怪我で自分より大きいやつを運べるわけねーだろ！！！」

『米屋……っおさむくんがっ』

「落ち着け、大丈夫だ」

視界に米屋が見えた瞬間更にボロボロと涙が止まらない。そんな私を米屋は抱きしめ、大丈夫大丈夫と宥める。そんな優しい言葉にだんだん気が抜け始め、意識は遠のいていった。

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