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「Aバイバイ！」
『あーちゃんバイバイ！』
友達にサヨナラと挨拶をし、玄関に向かう。ボーダーじゃない生徒たちは委員会や部活動に所属しているため、放課後は学校に残っていることが多い。
『……やば、雨降ってるじゃん……傘忘れたよ』
外に出るとザーと強い雨が降っており、さすがに傘無しで本部まで行こうとするとビショビショになる。どうしようと大きなため息をつく。すると「A」と名前を呼ばれ呼ばれた方を見ると、公平が傘をさして誰かを待っているようだった。
「本部まで行くんだろ」
『え……』
「早く入れよ…さみぃ」
さっきまで口を聞いていなかった公平が私の方へ少しだけ傘を傾け、入れと促す。私は少し戸惑ったが、素直に傘の中に入った。
「……」
『……』
「……あの、その……A、この前は……ご」
『コロッケ』
「は？」
『コロッケ食べたい』
私のわがままに慣れている公平は「はいはい」と苦笑しながら言い、本部への行き道にあるコロッケを買ってくれた。私はコロッケを頬張る。
『ん〜美味しい！』
「そりゃよかった」
『公平は買わなくてよかったの？』
「あーいいんだよ。今日は持ち合わせが1個しか買えない分しか持ってなかったから」
さすがに一人で食べるのは申し訳ないと思い、公平の口元へコロッケを持っていく。
「……な、なに？」
『はいあーん』
「……」
『1人だけ食べるの申し訳ないから、一口食べて』
「…は？」
グイグイと公平の口元にコロッケを持っていく。それと反対にコロッケから遠ざけようとする公平。
『なんで食べないの！』
「なんでって……っ(それ、間接キスになるだろ！！)」
『そんなに拒否られたら逆に食べさせたくなる！おら！食べろ！』
「ふざけんなっ！！(人の気も知らずにこいつは…っ)」
公平は私の腕をグイッと引き寄せて、手に持っていたコロッケにかぶりついた。
『ぁああー！！1口で半分以上食べたぁー！！！』
「ざまぁみろ」
『公平のバカヤロー！』
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