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両者なかなか点を譲らず、接戦を続けていた。他のコートで戦っている他のクラスも、また、女子だけでなく男子も灼熱している戦いを観戦していた。
「っ！ごめん！！」
『ドンマイドンマイ！次だよ！』
「ごめん、Aなら絶対取れてたボールなのに…」
『なーに言ってんの！あーちゃんが前髪振り回してまで取ろうとしてくれたんだから、取れなくても拍手ものだよ』
「前髪振り回しては余計だよ！」
決して諦めない気持ち、そして仲間を思う気持ち。ひとりが明るいと伝染してみんなが明るくなる。絶対負けないという思いがチームメイト同士を強くしてくれる。
「……さっきから思ってたけど、これスポーツ漫画っぽくねぇ？」
「確かにAたちの周りなんかキラキラしてるし」
「Aの性格からして熱血スポーツ漫画似合いそうだな」
「マネージャーとかよりも選手が似合うよなあいつ」
「やべぇめちゃくちゃ青春じゃん」
体育館の端っこで自分たちの番を待つ出水と米屋。その視線の先には同じクラスである川瀬チームがいた。活躍している川瀬を見ながら個々の感想を言っている。
「あ、Aのチーム勝ったじゃん」
「ほんとだ。すげーなあいつら」
試合終了のホイッスルとともにチームメイトとハイタッチを交わす川瀬。その表情は彼女が17歳だということを思い出させる。
「負けたよA」
『いい試合させてもらった……で、瑠衣、例のものは……』
「分かってるって、来週には渡せるようにするね」
『ありがとう、待ってる』
「……うーん、感動的なシーンなのかもしれないけど、話の内容を知ってるものとしてはなんとなく複雑だわ…」
熱い握手を交わす川瀬と小佐野。その横でとても複雑そうな表情で熊谷は2人を見ている。それもそうだ。2人のやり取りは諏訪さんの写真(隠し撮り)なのだから。
『くーちゃん手強すぎて、最後巻き返されるかと思ったよ』
「私もいけると思ったんだけどね…やっぱりAには敵わなかったな」
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