■61. ページ17
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「陽太郎いいこと言うじゃん。じゃ、陽太郎にプラスして俺もいるからな」
『……ありがとう遊真くん』
ニコッと笑い、優しい言葉をかけてくれる遊真くん。私って贅沢者だ。
あれから1時間迅さんを待ったが迅さんが戻ってくることは無かった。さすがにそれ以上長居をするのは迷惑になってしまうと思い、遊真くんと陽太郎くんと雷神丸にお礼を言い、玉狛支部から家に向かって歩いていく。
「いい顔してるね」
『迅さん』
私の帰路に飄々と現れた迅さん。人を電話1本で呼びつけて呼んでいた場所には現れず帰路に現れるなんて……いつもだったら怒るところだが、今日は気分が良く帰りたい。陽太郎くんと雷神丸くんに出会えたし。
「ね、いいもの見れたでしょ？」
『！どこまで知ってるんですか…』
「……んー、どこまででしょ」
結局また迅さんの視えていた未来だったらしい。
『なんか、私が何かを吹っ切れる時って必ず迅さんが関わっている気がします』
「そんなことはない。A自身で吹っ切ってるんだよ」
『ほら知ってる』
「……大丈夫。お前の未来は笑顔だよ。」
『？』
そう言うと迅さんは私の方へ歩いてくる。いつものように頭を撫でるのかなと思うと、ピタッと私の頭上で手が一時停止した。どうしたのかなと思った瞬間優しく優しく大切なものを抱きしめるように迅さんに抱き締められていた。
『……迅さん？』
「いいかA。大切なものっていうのはあるんじゃなくて自分自身で作るんだ」
『……』
「そして、大切なものになったからには何があっても守り抜くんだぞ」
『……迅さん』
"何か視えているの？"そう言おうとしたがそれを遮るように「じゃあ、俺は行くから」と私を離して屋根の上へ飛び乗り、どっかに行ってしまった。
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