■59. ページ15
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「あれ？Aさんじゃん」
『あ、遊真くん』
声がする方へ視線を向けると階段を降りたきた遊真くんと目が合う。私服姿の遊真くんは私を見て少しだけ驚いた顔をしたあと、「これはこれは」と言った。
「遊真！やっと起きたのか！」
「別に寝てたわけじゃないんだけどな」
「だったらさっさと降りてこい！！」
二人の会話をニコニコと微笑みながら聞く。陽太郎くんの下にいる雷神丸は大きな欠伸をする。
「ところで、どうしてAさんがここに居るんだ？」
『あ、そうそう。迅さんに呼ばれてきたんだけど……迅さん知らない？』
「迅さんなら朝早くから居ないぞ？」
『え！？』
朝から居ないのに私を呼び付けた迅さん。一体どういうつもりなんだと怒りで震えそうだ。折角、私非番なのに……。そんなことを考えていると遊真くんから遊真くんじゃない人の声が聞こえた。「遊真、お客様が来たらお茶を出すのがこの世界での作法だ」と黒いものが現れた。
「ほう、そうなのか。これはこれは失礼した。さぁさぁ中に入ってください」
『……あ、はい』
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遊真くんに案内され、陽太郎くんと並ぶように座る。遊真くんはなれない手つきでお茶を入れ、運んでくれた。私の視線はさっきから遊真くんの横をふよふよと飛んでいるくろい物体に注がれていた。
「うむ。よくやった遊真」
「陽太郎のはないぞ」
「なにー？！」
「お客様はAさんだけだからな」と言うと陽太郎くんがチラッとこちらを見た。私はあははと苦笑して『一緒に飲む？』と聞くと「いい……要らないぞ」と涙を溜めながら言った。
「……挨拶が遅くなってすまない。はじめましてA、私の名前はレプリカ、遊真のお目付け役だ。どうぞよろしく頼む」
『…お目付け役？』
「そうだ、自律型トリオン兵とも言う。遊真の父である有吾が私を作った」
「以後俺の相棒って感じだ」
『へぇ相棒か、いいねそういうの』
人間とかトリオン兵とか関係なく相棒と言い張った遊真くん。そんな彼らの関係が少し羨ましかった。
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