■58. ページ14
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「離せ……苦しいっ」と苦しそうにしている男の子ともふもふとした動物を『ごめんごめん』と謝りながら離す。男の子はプリプリとご立腹のようで私を指さして怒っている。
「貴様いきなり何をするのだ！」
『ごめんごめん。君もカピバラ君(？)も可愛かったから思わず抱きしめちゃった。驚かしてごめんね』
「……君じゃない！陽太郎だ！そしてこいつは雷神丸だ！」
「分かったか！」とまたしてもビシッと指さしながら言う。そんな姿さえ可愛いと思ってしまう私はふふと笑いながら『覚えた』と言う。私の返答に満足したのか「分かればいいのだ」と指を収めた。
『陽太郎くん可愛いね』
「ふん。俺様の魅力に気づくとはなかなか見どころがあるじゃないか。お前の名前も聞いてやる」
『ふふ。私の名前は川瀬A。ボーダーのB級隊員だよ』
「なんと！！……でもランク戦でAは見たことないぞ？」
『あーそれは、私ソロだからB級ランク戦には出てないの』
「そうなのか……隊が組めるように頑張りたまえ」
キラリと効果音がなりそうなほどドヤ顔で陽太郎くんが言うもんだから私は額に手を持っていき敬礼ポーズで『はい。頑張るね』と微笑みながら言うと陽太郎は顔を赤くした。
「……Aはなかなか可愛いから将来俺のお嫁さんにしてやる」
『本当に？ありがとう。』
子供が言うことだからと少し聞き流す。私の態度が気に入らなかったのか「本気にしてないな！結婚するんだ！」と地団駄を踏み出す。私は少し困ったように頭を傾げた。
『陽太郎くんがあと10歳大きくなっても、まだ私のことお嫁さんにもらってもいいって思ってたらまた言ってね』
「ふん。俺を試しているのだな。いいぞ俺は一途な男だ」
サラッとこんなことが言える陽太郎くんは将来大物になること間違いなしだろう。
陽太郎くんと話していたら、階段の上の方から物音がした。
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