朝露の涙 ページ6
マネージャーの朝は早い。
5時に起床、身支度を軽く整えた後に昨晩干しておいた洗濯物を畳む。
トレーニング室の備品の確認を再度行って汚れが無いかこまめに点検する。
「おはよ、わざわざ私の分までありがとうね〜！」
アズ子さんはいつもみんなが起きる30分前に起きて、私のこなした仕事を自分の手柄だとみんなに言い広める。
＿＿＿なんだかなぁ。
そこまでしてあの高校生たちの注目を集めたいのだろうか。おかげで私は何も仕事をしないダメ人間みたいな扱われ方だし。
講義をした所で後から何を言っても無駄だということは理解している。要は言った者勝ち、早い者勝ちなのだ。
壁際に背を預けながら、ダンベルを重い順に並べていく。金属の熱を持たない冷たさが、まるでチームZ達が私を見る視線のようで痛かった。
「じゃ、私メイクしてくるから引き続きお願いね〜」
アズ子さんは化粧室へと踵を返した。その私は間食堂の消毒を済ませよう。高く結んだポニーテールを縛り直して足を運んだ。
＊＊＊
「ね、俺も手伝おっか」
「わっ……蜂楽くん。まだ起床時間じゃないよ、どうしたの？」
「ん〜？ 毎日1人で偉いなぁって思ったから」
『毎日』。
蜂楽くんもアズ子さんの「私だけが掃除やってる」発言(虚言)を聞いているはずだ。それなのにどうして本当の事を知っているのだろう。
不思議がちに目を瞬かせると、蜂楽くんは何かしら好意らしく笑った。その弾けるばかりの眩しい笑顔は、まるで子供だ。
「だって、Aっちの手は傷だらけで、アズ子っちの手はつるつるすべすべ〜。ここで作業してたら、どんだけ気を使っても傷とか荒れって出てくるもんっしょ？」
蜂楽くんが手を差し出す。私もそれに従って恐る恐る手を差し伸べてみる。
五本の指が、私の手のひらを握った。それは、とてもしっかりとした握り方だった。
力まかせに握りこむのではなくそっと包みこんでくるのに、少しもゆるぎがない。思いがけないほど確かで優しい感覚で少し驚いた。
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らず - 更新頑張って下さい〜‼ (2023年3月30日 17時) (
レス) @page8 id: 420a815871 (このIDを非表示/違反報告)
赤ずきん。(プロフ) - こ、恋様……！！素敵な文章…と思いながら読んでいたらまさか恋様とは…！！ (2023年1月21日 20時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
川栄百合子 - パスワード設定にしちゃうんすか？しないで下さい！！ (2023年1月21日 18時) (レス) @page4 id: ef38169435 (このIDを非表示/違反報告)
アナと - 面白いからパスワードにしないでほしい (2023年1月21日 18時) (レス) id: 8d0ab60321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春風 恋
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2023年1月21日 17時
