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「…え」
『そういえば、あの日もこんな雨だったね』。そうにこにこ笑顔で話す出久にただただ目を丸くするしかなかった。
「あの日って…」
不審がって言う私に今度は出久が目を白黒させる番だった。「覚えてないの？」と頓狂な声をあげて私の両肩を掴む。
「あの日君は、」
冷や汗が頬を流れた瞬間、どこからともなく携帯の着信音が小さな部屋の中で木霊した。
当然、この着信はスマホをぶん取られてしまった私のはずがない。
「…どうぞ」
後で話を聞こう、と出久に着信応答の許可を出してそっぽを向いた。
「もしもし緑谷です。…あぁ、上鳴くん！」
出久は人差し指を口にあて、珍しいね？どうしたの、と言いながら私にも聞こえるようにスピーカーにした。
『緑谷今どこいんの？』
「え？」
『学校のプール借りて体力強化しよーと思ってさ！峰田と緑谷誘おーぜって家来てみたら「飯田くんの家に泊まりに行った」…って母ちゃんに言われたんだけど、飯田来てねぇって。どゆこと？』
「「………」」
明らかに出久の表情が濁る。落ち着きなく唇をなめ、爪で膝を抓る仕草から、明らかな動揺が読み取れた。
「…これから行って説明するよ、すぐ行くから待ってて」
上鳴くんの返事を待たずにほぼ無理やり通話を終わらせてしまった出久は、少々の無言の後に全ての鬱憤を吐き出す様に深くため息をついた。
「とりあえず、適当に誤魔化してくるね。また後で来るから」
「っでも出久、」
「大丈夫。…僕を信じて」
そう言っていつものように私の額に軽く口をつけて重たい鉄の扉をこじ開けこの場を後にした。
「………出久」
出久の言っていた『あの日』。
もしかしたら、私が忘れているだけで傘をくれたのは彼だったのかもしれない。改めてそんな昔から自分を思ってくれていた愛しい人に心から感動した。
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トオ(プロフ) - あの、もう一気読みしました…好きすぎて……こんな作品作れるなんて凄くないですか？めちゃくちゃ尊敬してます… (2022年8月21日 10時) (
レス) @page18 id: 316392659a (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - あ、滅茶苦茶好きです…！ (2021年4月18日 5時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
*紅_あか* - わわわ！わー！！好きです！！！すっごい好きです！！！！あの…なんて言うんだろう…表現の仕方？とストーリーと夢主の思考？を行動に写して、わくわく(…かな？)してしまうほど好きです！！！！！ (2021年4月8日 20時) (レス) id: d344c61285 (このIDを非表示/違反報告)
春風 恋(プロフ) - みかさん» ひゃーっっ、ありがとうございます！！皆さんへどんでん返しできたかな？とニマニマしながら執筆してます！笑 (2021年4月7日 13時) (レス) id: 41a6911d5c (このIDを非表示/違反報告)
春風 恋(プロフ) - チヒロさん» 分かりますかっこいいですよね切島くん(最推し) (2021年4月7日 13時) (レス) id: 41a6911d5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春風 恋
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2021年3月27日 13時
