いずれ去るあなた2【ノーマン】 ページ18
「黙って僕について来さえすればそれでいいんだよ？」
「……はい」
「僕は、やろうと決めたことが出なかったことなんて、1度も無いんだから。」
「はい」
「ねえ、君は、Aは、」
苦手だと思ってはいても、結局私もノーマンという大きな流れに流される群衆の一人にすぎなかったようで。
性能の悪い機械のようにはい、を繰り返すだけの私を彼は満足そうな顔で見ていました。
部屋に差す真っ赤な夕陽に、彼の白く透き通った髪が溶けて消えてしまいそうで、柔らかい髪に手を伸ばした。
「Aは僕を愛してくれる？」
私に残された返事はいつだってたった一つだけで、けれどこの時ばかりは選択肢が一つであることが喜ばしかった。
私は何の躊躇いもなく、このひどい人を抱き締める権利を得たのです。
それから何年も、何年も経ったある日です。
天使の翼のような無垢な輝きを持つ、白い髪が黒い帽子で覆われ、よそ行きの格好をしている彼を見た時、時間を止めたいと心底思いました。
ハウスの時計を全て壊せば、私や彼や彼らは変わらずいられたのでしょうか。
得た水を全て飲み干してしまった魚の行方を私は見たくありませんでした。
ひどく暴力的な力の前では、正しさなど無意味だと気付いてしまったから。
そして何よりも、どれだけ時間が過ぎようと彼らが変わろうと、私に与えられた答えが一つだけのことに変わりはなかったのです。
彼はいつかのように優雅に微笑んで、いつかの時とは違ってチェスの駒を床に落としていきました。
「Aは、僕が好き？」
「……はい」
「そう、ところでAに頼みたいことがあるんだ」
頼まれてくれるかい？
笑う彼は、ひどい人です。
私に与えられた答えは、まだ一つだけしかない。
あの日、彼を抱き締めた腕はここにあるのに、あの日と同じ腕がここにはあるのに、どうしたって私は彼を抱き締められませんでした。
言われた言葉に泣きたいんだか笑いたいんだか分からない歪んだ私の顔が、彼の青い瞳に映っていました。
時計を止めることも巻き戻すことも出来ない愚かな私に出来ることは、彼を止める事だけだときっと彼は知っていました。
いつだって彼は正しい。
それを最期の時まで否定出来なかった私に出来る事は、与えられた答えを彼に返すことだけでした。
「僕を殺すのはAがいい」
ひどい事、三つ目、
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十六夜 - まさかのオメガバース…！面白かったです！ぜひ続きお願いします！ (2019年3月18日 23時) (
レス) id: 0c00cde65c (このIDを非表示/違反報告)
ヤシの実 - オオオオメガバース！？約ネバでオメガバースが読めるとは...Ωノーマンやっっばいですねっ！！ドキドキしました（照） ‥‥あ！( ﾟ∀ ﾟ)ﾊｯ初めまして！もしよろしければオメガバースの続きを…… (2019年3月18日 21時) (レス) id: ad6942667d (このIDを非表示/違反報告)
相沢恋(プロフ) - 猫好きさん» 泣きながら祈ったのでしょう？は長編化していますので、そちらを読んでいただければ分かると思います。それでも分からないようでしたらぜひぜひコメント下さいませ！ノーマンの愛は重いです笑 (2019年3月18日 21時) (レス) id: 49ab268cae (このIDを非表示/違反報告)
相沢恋(プロフ) - 菫の花さん» うわぁぁ、ありがとう！！私もこういう悲恋、報われない話大好きすぎて主食だから←(私も菫の小説大好きすぎる！！！悲劇のお姫様今度続き書きたいいい！！コメントありがとう！ (2019年3月18日 21時) (レス) id: 49ab268cae (このIDを非表示/違反報告)
相沢恋(プロフ) - コーラサワーさん» 内容パクらなければ大丈夫ですよ！あと、自分自身のコメントしか消せないので、コーラサワーさんのは消せません、ごめんなさい！ (2019年3月18日 21時) (レス) id: 49ab268cae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：相沢恋 x他1人 | 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2019年2月11日 12時
