UNDEADへの訪問者 ページ13
零side
「待たせたの。......おや?そこにいるのは誰じゃ?」
軽音部室にUNDEADのメンバーが自分を除いて全員いるのはまあ何時ものことだが、今日は知らない顔がいた。その青年はドアに背を向け薫くんと話していたが我輩の声を聞くや否やこちらに振り返った。
青年はとても整った顔立ちをしている。
濡れ羽色の艶やかな髪に金色の瞳。右目は前髪で隠れている。アイドル科にいても引けを取らないレベルのイケメンだ。
「あれ?澪ちゃん?」
「.....みつじゃん。こっちの校舎まで来てどうしたの?」
どうやらその青年と澪くんは知り合いのようだ。澪くんはその青年が軽音部室にいることに驚いて目を丸くしている。
「すまぬ。我輩、よく状況が把握できていないんじゃが、説明してくれんかえ?」
「伊達 光。普通科の副生徒会長で俺の幼馴染だよ」
「あ〜。朔間さん。お仕事の依頼みたい。まだ俺たちも詳細はきいてないんだけどね」
さっきまで伊達くんの話を聞いていた薫くんが説明してくれる。
伊達くんは少し困ったように頰をかきながら、急に押しかけてごめんね、と言った。
まあ立ち話もなんだ、とUNDEADのメンバーと澪くんと伊達くんで円になるように地べたに座る。
「それで、仕事の依頼について聞きたいんじゃけれども」
「えっと3ヶ月後の9月21日に普通科で体育祭があるんだけど、UNDEADの皆んなに今年のスペシャルゲストとして来て欲しくて。」
「ありゃ。もうそれ決める時期だっけ?」
「うん。運営委員長の一くんには一応話は通したんだけど。ほんとは僕と澪ちゃんで話し合って決めるべきなんだろうけど書類の締め切り近くて勝手に決めちゃった。」
「全然いいよ〜。俺、スペシャルゲスト呼ばなきゃいけないこと忘れてたし。去年は誰が来たっけ?」
「......澪ちゃん、ほんと体育祭に興味ないよね。春本さんだよ。今人気の映画の主演の子」
夢ノ咲の普通科の体育祭のスペシャルゲスト。
それはアイドルに限らず俳優やモデルにとっても喉から手が出るほど欲しいものだ。
夢ノ咲の普通科には大企業の子供や御曹司が主に通っている。簡単に言えば皆んな薫くんや天祥院くん並みのボンボンなのだ。
体育祭にはその子たちの親も来る。
つまりスペシャルゲストに呼ばれるだけでお偉いさんの中で名は一気に売れるわけで。
卒業後にアイドルを続けるにしろやめるにしろ、断るのにはもったいない案件だ。
メンバーは皆んな同じ考えらしい。
受けます。迷わずにそう伝えた。
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作者名:チロキシン | 作成日時:2019年1月3日 21時